腐葉土の中には、細菌や菌類などの微生物はもちろん、トビムシやミミズなど、たくさんの無脊椎動物も住みつきます。
カブトムシの幼虫は、分解された落ち葉とともに、口に入るサイズであれば、そのような微生物や小型の無脊椎動物も体内に取り込みます。彼らもカブトムシの幼虫から見れば貴重なタンパク源です。そして、それらの生物の細胞を構成するキチンやクチクラなどを消化管の中で酵素によって消化し、成長などの生命活動に利用します。
オスに大きな角があるのは餌と関係している
カブトムシにあって他のほとんどの昆虫にない特徴の一つは、言うまでもなく、オスの大きな角です。彼らが角を持つ理由は、彼らの餌と関係があります。カブトムシやクワガタムシなどを採るために私たちが広大な林の中から良い樹液場を探すのは苦労しますが、いくら虫たちが優れた嗅覚を持っているとはいえ、彼らにとっても餌場を見つけ出すのは容易ではありません。
たくさんの木があっても、樹液の出る木はわずかにしか存在しません。樹液場は餌場であるだけでなく、オスとメスの出会いの場でもあります。そのため、樹液場には多くのカブトムシが群がることになります。オスはせっかく見つけた餌場やメスを勝ち取るために、他のオスと戦う必要があります。
日本のカブトムシが使う“必勝法”
けんかの際は、大きな武器を持つオスほど勝率が高く、結果的に多くのメスと交尾し、多くの子を残すことができます。カブトムシやクワガタムシのみならず、ヤセバエやケシキスイなど、樹液場に来る昆虫の多くが武器を持っているのは偶然ではありません。どの種類も、貴重な餌場を勝ち取るために、ライバルと戦うための武器を進化させてきたのです。
カブトムシのけんかをよく観察してみてください。最初にオスは必ず相手の体の下に角を入れようとします。相手を木の幹からすくい上げ、引きはがすためです。相手も引きはがされないように、頭部を下げて応戦します。しかし、一瞬の隙を突き、相手の体の下に角を挿入するやいなや、勢いよく頭部を後方にひねり、相手を投げ飛ばします。
このように、瞬間的な爆発力で相手を投げ飛ばすようなけんかのスタイルは、ヘラクレスオオカブトなどの外国のカブトムシにはあまり見られません。熊手のような形をした日本のカブトムシのオスの頭部の角は、そのような戦いにもってこいの形をしていることから、けんかの様式と角の形はリンクして進化してきたと考えられます。