「インフルエンザやコロナで出勤停止」法的な根拠はない
社会人に対し、インフルエンザなどの感染症について出勤を禁じる法律はありません。
ちなみに、新型コロナウイルス感染症については厚生労働省が特別に呼びかけたことで、陽性ないし濃厚接触者である社員の出勤停止措置を講じる企業が多くみられました。
陽性であれば業務不履行のために無給、濃厚接触者であれば休業補償ないし有休で対応した企業が多かったようです。
子ども・学生については学校保健安全法で感染症予防について定められており、インフルエンザやおたふく風邪(流行性耳下腺炎)などの感染症を発症した場合、一定の期間、出席停止になります。
これは学校が集団生活の場であることから、感染を広げないための措置なのですが、労働者にこうした規定を設けた法律がないのです。
安全配慮義務違反に問われる可能性
インフルエンザをはじめとした感染症でも出勤すること自体は行政法規違反ではありません。
したがって、出勤した労働者本人を取り締まることはできません。
ただし、感染症に罹患している労働者を就労させ、かつ周囲にも感染リスクを拡大させたということで、会社は労働安全衛生法上の安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
しかし、会社も集団生活の場です。また、労働者は会社に対して労働時間内は労働力を提供する義務を負っているので、その観点からもうつさない・うつらない努力は必要です。