不登校の問題を解決するために

ケース3
〈年齢〉父親:40歳代前半 母親:30歳代後半
〈職業〉父親:自営業 母親:会社員
〈子ども〉長女:18歳 次女:15歳 長男:13歳
〈背景〉父親が親権者として監護
〈経緯〉母親から長男の親権者変更の申立

夫婦は3年前に離婚し、父親が親権者となって子ども3人を監護してきました。父親は自営業ですが、朝早く外出して仕事をし、その後自宅へ戻ってきても働くという職業生活のため、3人の子どもは放任気味で育てられてきました。その過程で、長男が不登校になりました。

母親は月に1回ほど子どもたちと会っていましたが、今後の高校進学のこともあり長男のことが心配になり、長男の親権を取得して自分と一緒に生活することを父親に提案しました。父親としても不登校のことが気になっていましたが、効果のある方策が見つからないままきたため、この案に賛成しました。長男自身からも同意が得られ、すでに母親と同居を開始しています。

兄弟分離になりますが、2人の姉はむしろ賛成しているとのことです。というのは、2人ともそれぞれ大学と高校への進学のための受験勉強の時期と重なっており、長男が不登校で昼夜逆転した生活をしていて、夜間に音響機器から大きな音を出したり、楽器を演奏したり、食事をしたり、その他の活発な行動をして非常に騒がしいため、生活のサイクルを乱されて勉学に集中できず困っていました。

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親権を持っていない親の家に脱出するケースも

離婚した夫婦が話し合った結果、当事者間の合意にもとづいて、親権者の変更が家庭裁判所へ申し立てられることがあります。夫婦の別れは、親子の別れを意味するものではありません。子どもが社会的不適応になったり、(特に女子が)思春期の一定の年齢段階になったり、子ども自身の考えや志向が変わったときに、離婚した夫婦が相談し、協力して居住環境を変えたり親権者を変更したりすることによって問題解決を図ろうとすることがなされています。ただ、もし単独親権でなかったならば、もっと早い時点で互いに連絡を取り合い、早期により適切な対応を取ることが可能になったのではないかとも推測されます。

また、子どもが自分を監護している親権者と一緒に生活することを好まず、拒否して、親権を持っていない親の家へ脱出するケースも見られます。これらのケースからは、親権を一方に定めるというのは親の勝手な取り決めであって、子どもたちは両方の親について、ともに親という認識を持っていることを読み取ることができます。