特殊詐欺に参加したらどうなるか

後日、新聞記者を通じて、特殊詐欺の実行犯は少年でも口座がつくれないのか、確認してもらった。

数行の取材を終えた記者からは「少年でも特殊詐欺に加担して逮捕されたら、銀行口座開設はどこも厳しい」と伝えられた。(余談だが、罪を犯した若者の社会復帰を難しくしているのには、こういった厳しい社会制裁にもあると筆者は感じている)

さらに、成人の場合は、逮捕時に新聞などに名前が載るため、デジタルタトゥーとしてネット上に名前が残るため、就職や結婚など、その後の人生に重大な支障を来す恐れが否めない。

このように、特殊詐欺などの犯罪に加担すると、社会的に厳しい対応が為される。闇バイトの勧誘時に「捕まっても少年だから軽く済む」などという者がいるが、それは嘘であるということを、心にとめておいてもらいたい。

それでも闇バイトが減らないワケ

新聞やネットニュースには、これでもかというほど闇バイトで逮捕された者の記事が掲載される。それなのになぜ闇バイト応募者が減らないのか――と、疑問を持つ読者の方も多いのではないだろうか。

廣末登『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』(祥伝社新書)

筆者もこの点には疑問を持った。そこで、筆者が担当する大学の講義(1年生から4年生93名受講登録)の最初の授業で、学生たちに以下の質問してみた。

「この中で新聞読む人はいますか」「1日1回、ネットニュースに目を通す人はいますか」

結果は、前者が0人、後者が1名であった。限定的な調査であるが、大学生でもこの程度であるから、「若者がニュースを見ていないのではないか」という点に思い至った。

そうであれば、いくらマスコミが闇バイトの危険性を喧伝しても、彼らに伝わらないことに納得がいく。