コーチを喜ばせるためにゴルフをするようになった

マーヴィンの両親が目の当たりにしたように、ハイレベルな環境のなかで競技を行っている幼い選手は、燃え尽き症候群に陥る危険があります。

マーヴィンは、ハイレベルな戦いができるうえに強い選手になれるだけの身体能力を備えていながら、コーチとの関係がぎくしゃくしていることでゴルフを楽しめなくなってしまっています。

それまでいい結果を出すことで自信をつけてきましたが、今では試合や練習に追われて友達と過ごす時間もほとんどありません。リラックスできる時間がないので、コーチからの叱責が余計に堪えるのです。

マーヴィンは、コーチを喜ばせることばかりを考えるようになっていました。いいプレーができないと、その分、コーチから激しく叱られます。

マーヴィンは自分のことが嫌になり、一気に自信をなくしてしまっているのです。

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「最後に楽しくゴルフをしたのがいつか思い出せない」

それまでの経緯を聞いて、マーヴィンの父親は驚いてこう言います。「コーチにそんなに厳しくされていたのに、どうして言わなかったんだ? 父さんと母さんがコーチと話すことだってできたんだぞ」。

「そんなことをしても意味ないよ」。マーヴィンは言い返します。

「あのコーチは厳しいだけ。コーチのルールに従ってプレーできなければ、やめるしかない。僕はもうそれに耐えられないんだ。コーチのためにプレーするのは嫌なんだ。ゴルフだって、嫌いだし。プレーするたびに、すごくイライラするんだ。ゴルフが最後に楽しかったのがいつだったか、思い出せないよ」

子供が誰かを喜ばせるためにプレーすると問題が生じます。

コーチや親のためならなおさらですが、プレッシャーを感じてプレーが楽しくなくなってしまいます。子供が幼ければ余計に楽しさが消えて、プレーすることに意味がなくなるのです。

年齢を重ねていけば、コーチといざこざがあっても一時的な問題として対応できるかもしれませんが、幼いうちはそこまで広い視野は持てません。

傷ついてしまい、求められることに応えて容赦ないコーチともうまくやっていけるほど強くないのです。まさに、マーヴィンはこういう状況に置かれているのです。