車やバイクと違って速度が低いため、軽傷で済むと思っている人は大勢いると思いますが、自転車は気軽に乗れる分、リスクが高い乗り物だと言えます。

JAFのページにはこう書かれています。

「ヘルメットは万能ではないが、最も重要な頭部を守るための唯一の安全装備である」

この指摘は非常に説得力があります。生身での走行自体が、非常にリスクの高い行為であることを改めて認識する必要があります。

髪形を守るか、命を守るか

運転免許がなくても乗れる手軽な「自転車」は、通勤、通学、買い物の足として、また子どもたちの遊具として、私たちの生活の一部となっています。しかし、「道路交通法」においては「軽車両」と位置づけられているれっきとした「車両」です。努力義務といえども、ハンドルを握る以上、法律を守る必要があります。

7月1日からは、電動キックボードの交通ルール変更を盛り込んだ改正道交法が施行されます。最高速度が時速20キロ以下の車両が新たに「特定小型原動機付自転車」に分類され、運転可能な年齢を16歳以上とし、運転免許は不要で自転車と同様の交通ルールが適用されます。こちらもヘルメットは「努力義務」ですが、車輪の小さな電動キックボードは、自転車より不安定な乗り物です。転倒するだけでも危険であることを認識してほしいと思います。

車両であるにもかかわらず、自転車は、脆い生身の体を常に危険にさらしていることを忘れてはいけません。一度の、一瞬の事故が、その後の人生を大きく変えてしまうことになる――。自転車に乗るとき、山本せつみさん・一真さん親子の言葉を思い出してほしいと思います。

それでも髪形を守るために、大切な頭部を危険にさらしますか?
恥ずかしいから、今日もヘルメットなしで自転車に乗りますか?

クルマの無謀運転から身を守るにはこれしかない

自転車用ヘルメットの購入については、2000~3000円程度の補助金を出している自治体が多数あります。今、全国各地でさまざまな取り組みが積極的に導入されています。居住している地方自治体ごとに、補助金額や開始時期、対象年齢などの各種条件が異なっているので、これから購入を検討している人は、ぜひ一度、お住まいの地域の自治体ホームページをチェックし、役所に問い合わせてみてください。

自転車の死傷事故は、車の一方的な無謀運転によって引き起こされているものも多く、たとえ自転車側がヘルメットをかぶっていても命を守り切れないケースが多いのは事実です。しかし、ヘルメットによって確実に守られる命、そして未来があるのもまた事実です。

一瞬の交通事故が、本人とその家族の人生を大きく変えてしまいます。事故の経験者の声に耳を傾け、自分や家族の命と将来を守るためにも、ぜひヘルメットの着用を心がけたいものです。

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