ピンク色のかわいい薬、実は劇薬!?

毎日出ないと気になって薬を飲むという極端な人もいるが、便秘薬に頼り過ぎるのも禁物。市販の便秘薬は、見かけはかわいらしいものでも「刺激性下剤」が多く、習慣的に服用すると、下剤による強い刺激がないと腸のぜん動運動が起こらなくなるからだ。「できるだけ生活習慣を改善することで便秘を解消してほしいのですが、薬を飲む場合には、刺激性下剤ではなく、酸化マグネシウムが主成分の薬を選ぶようにしてください」(山名氏)

さらに、受験ストレスなどで子供にも増えているのが、腸に特に異常がないのに便秘や下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」だ。過敏性腸症候群は、不安や緊張、ストレスなどが脳に感知されて自律神経の働きが乱れ、腸が過剰に動いて腹痛が生じ下痢になったり、腸がけいれんして停滞しガスがたまったり便秘になったりする病気。大人も子供も、検査で腸の異常がみつからず、下痢、便秘、腹痛といった不調が1カ月以上続いている場合に、過敏性腸症候群と診断される。

「なかには、授業中に下痢になったりガスが出たりしたら嫌だからと、食べる量を減らすお子さんもいます。そうなれば、成長にも悪影響ですし、学校へ行けなくなる場合もあります。過敏性腸症候群の薬を服用すれば必ず改善する病気ですから、下痢や便秘が続いたり、整腸剤や下痢止めなどで治らないときには、消化器科や心療内科や児童精神科で相談してみてください」

ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック心療内科・精神科の皆川恵子氏は、そう強調する。
子供にも増えている病気であるにもかかわらず、治療できる病気だと親が知らなかったり、「プレッシャーに弱い子だから仕方がない」と放置したりして、適切な治療を受けるのが遅れるケースも少なくない。