巨額の献金で政治家に働きかけるNRA

NRAは「人を殺すのは人であって銃ではない(銃が悪いのではなく、人間の問題だ)。だから銃規制を強化しても犯罪防止には役立たない」との主張を展開し、銃規制に反対する共和党議員に多額の献金をする一方、銃規制に積極的な民主党議員を落選させるために攻撃する。

米国バージニア州にあるNRA本部(写真=Bjoertvedt/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

ニクソン、レーガンなど共和党の歴代大統領の多くがNRAの会員となり、また現職の有力議員はNRAから多額の献金を受け取っている。たとえば、2016年の大統領選に立候補したマルコ・ルビオ上院議員は約330万ドル(約4億4550万円)を、トランプ前大統領も同じ選挙で約2100万ドル(約28億3500万円)相当の献金を受け取っていたことがわかっている。

その一方で、NRAは銃規制法案に賛成する民主党議員に対し、「国民の銃所持の権利を保障した修正第2条に反する」などと批判し、選挙で落選させるためのキャンペーンを展開する。

しかし、銃規制は本当に憲法違反なのか。

「銃規制は憲法違反」は本当に正しいのか

まずは修正第2条の規定を見てみよう。

「規律あるミリシア(民兵)の結成は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を所有し、携帯する権利はこれを侵してはならない」となっているが、問題はミリシアをめぐる解釈である。

ミリシアは今から約250年前の建国時代に結成され、イギリスとの独立戦争でも活躍したが、1916年の国家防衛法(NDA)によって各州の防衛軍(州軍)として、「ナショナルガード(州兵)」と呼ばれるようになった。そこで修正第2条を現在の状況に当てはめて考えてみると、武器を所持する権利はミリシア(州兵)に与えられたもので、すべての国民に無制限に与えられたものではないという解釈も可能となる。

実際、この解釈をめぐっては法律専門家の間でも意見が分かれ、2010年に退任したジョン・ポール・スティーブンス元連邦最高裁判事は、「修正第2条は現在の米国社会の状況に合わないので、廃止すべきだ」と発言している。

それにもかかわらず、NRAはすべての国民が銃を所持する権利を強硬に主張しているのである。