所得税+住民税で55%というボッタクリ
日本の税金には、このようなカラクリがあるうえ、税金そのものも高い。たとえば、所得税は最高税率で見ていくと、日本は世界でもっとも高いほうの部類に入る。日本の最高税率は45%であり、住民税10%と合わせるとなんと55%にもなる。
次に、主要国の最高税率を高い順に記してみる。
スペイン52%、英国50%、ドイツ、フランス、オーストラリア45%、アメリカ35%、カナダ29%――。どうだろうか。世界には、オフショアもあり、シンガポールは20%、香港は17%と低く、ケイマン諸島は所得税そのものがない。
[図表2]が、日本の所得税の税率である。所得が高い人ほど税率が高くなる「超過累進課税制度」が取られていて、1800万円を超えると40%、4000万円を超えると45%が課せられ、これに住民税10%が加わる。
単純な話、日本のサラリーマンは年収1800万円以下までにしておいたほうがいい。それ以上稼ぐとどんどん取り上げますと、国は言っているわけだ。
相続税は「二重課税」「三重課税」に当たる
相続税もボッタクリである。相続税にも所得税と同じように金額に応じて課税するという制度があり、これを動かすことで簡単に増税できる。
実際、相続税は2015年年1月1日から税率が引き上げられ、最高税率が55%になった。また、基礎控除額の改正も行われ、それまで5000万円だった定額控除が3000万円と、なんと4割も引き下げられた。控除額の引き下げは増税である。
じつは、相続税はもともと、その課税根拠が希薄な税金だ。なぜなら、私たちは所得があればその一部を所得税というかたちで国に納めている。そして、残った所得で資産を形成する。
たとえば土地・建物を購入すれば、そのときに不動産収得税などを払い、さらに、毎年、固定資産税を納める。株や債券に投資しても、それから得られた利益に対してはキャピタルゲイン税を納めている。
こうしてさまざまな税金を払ったうえに残った資産に、所有者が死んだという理由だけで課税するのが相続税であり、これは、明らかな「二重課税」「三重課税」ではなかろうか。