高速のぶくぶくうがいは老化予防にも効く

うがいには2種類あります。帰宅後にのどの洗浄を目的に行う「がらがらうがい」と、口をゆすぐ「ぶくぶくうがい」です。

みなさん、歯みがき後に「ぶくぶくうがい」を必ず行っていると思います。もっとも、漫然と行っている方が多いのではないでしょうか。ウオーキングが、ただゆっくり歩くよりも速歩きしてこそ健康効果が高いとされるように、うがいも「高速で行うこと」が大切です。

口腔がんの術後や、外傷などで口腔機能が低下した患者さんの治療やリハビリを大学病院で担当しているなかで特に重要性を感じたのが「うがい」です。

機能が衰え、ゆすぐ力が弱いと汚れはたまりやすくなります。口まわりの動きと衛生状態は密接だと実感し、もっとうがいに関心を持ってもらえるように「高速ぶくぶくうがい」で、うがいの啓発活動を行っています。

これは、少量の水を含み、高速で勢いよく行ううがいです。習慣化すれば、口の中をキレイに保ちやすくなるだけでなく、口まわりの老化予防にも効果が期待できます。このうがいの効果を、詳しく紹介しましょう。

「バイオフィルム」のリスクを減らそう

一つは口の中に残った汚れを、このうがいによる強い水圧で落とすこと。口の中に食べかすがあると細菌が繁殖し、虫歯や歯周病の原因であるバイオフィルム(歯垢や歯石)がつくられます。一度形成されたバイオフィルムは歯ブラシなどを使って機械的にこそげ落とす必要がありますが、食べかすを残さないことでリスクを減らそうという狙いです。

照山裕子『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)

また、間食時に糖質を含む甘い飲食物をとると口の中が一時的に酸性に傾き、虫歯リスクが高まります。すぐに歯ブラシができないときでも、うがいで口の中が中和されるメリットは知っておいて損はないでしょう。

もう一つは、素早いうがいの動作で口まわりの筋肉が強化されることです。

ぶくぶくの動きは口まわりの筋肉が疲れるぐらいが効果的。筋トレ効果で、ほうれい線やフェイスラインのたるみが改善したという声を多くの女性からいただきました。

高齢者にとってもうがいは重要です。歯ブラシで汚れを取っても、ゆすげなければ口内にとどまってしまいます。こうした汚れは誤嚥性肺炎を引き起こす要因になるので注意が必要です。

歯みがき後のうがいをぜひこの「高速ぶくぶくうがい」に変えてみてください。