何はともあれ「努力と我慢」

会社を興すのでもいいし、何か資格を取るのでもいい。自分が目標を持って、何かやろうと思っていることがある人に言いたいのは、何はともあれ努力と我慢だ、ということです。この2つを持っていないと絶対に成功しません。今も昔も一緒です。人よりもよく働く。何はともあれハードワーキングです。

家族の考え方も大事です。稲盛さんにしても、あの夫あってこの妻あり、というご夫婦なんですよ。男の成功も女の成功も、一緒に住む人がどんな考え方か、とても大事になる。

僕も子どもが2人いるわけですけど、どこかに遊びに連れていったためしなんてない。それは妻が全部やってくれた。そして、あなた、そのかわり偉くなってくださいな、大きな会社にしてくださいよ、とこういうことなわけです。

そうすると子どもたちが、「お父さん、次の日曜日には、どこかの遊園地に連れていってやると言ってたけど、また会社か」と言って、2人で怒っていました。でも、そんな子どもたちも、今は2人とも会社を経営しています。

遊園地に連れていかなかったら、子どもはおかしくなるのか。そんなのは全部、ウソですよ。そんなことよりも、酔っぱらって帰ってきて玄関で寝ている父親のほうが、よっぽどひどいでしょう。

人生はいいこと、悪いことでプラマイゼロ

稲盛さんもそうですけれど、僕は人間は叱って育てないといけないと思っている。本屋に行ったら、褒めて育てようなんて本ばかりですけど、もしそうだったら、もっといい人が育ってるだろうと。人は叱って育てる。これも、稲盛さんと共通しています。

稲盛ライブラリー+講談社「稲盛和夫プロジェクト」共同チーム『熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間』(講談社)

家族の中で、夫が会社をつくった、妻が会社をつくった、と。それで死ぬほど働いていると。それに対してサポートもしないで、反対したり、協力しなかったりする奥さんや旦那さんだったら、絶対に会社は大きくはなりません。

やはり人間が成功していく過程では、配偶者や子どもに対して、ものすごく迷惑をかけてしまう。でも、だから会社は大きくなるんです。子どもを留学させることだってできるんです。それは、会社が大きくなったからできたわけです。

人生はプラスマイナスゼロです。いいことと悪いことで、プラマイゼロ。ところが、人間はいいことは忘れるけれど、嫌なことだけは覚えてますからね。

いや、僕の人生はそんなことない、嫌なことが9割あったなんて言う人もいますけど、それは全部ウソ。すべてはフィフティフィフティなんです。

(聞き手・構成=上阪 徹)
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