恋愛をネガティブに捉える考え方

また、Bさんよりも約10歳若い20代のZ世代にも「早恋」に対する大人の態度について聞いたが、状況はほとんど同じだった。広東省のあるZ世代は高校の時「早恋」を両親に反対されて親子喧嘩が絶えず、ある日、とうとう家出をして公園で一夜を明かしたこともあったという。

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一方、また別のZ世代の男女二人は、高校時代には先生と親には秘密で付き合っている人がいたが、直接は干渉されずに「曖昧に」しておいてくれたという。親からすると「当然ながら、勉強第一」だが、「勉強さえできていれば、恋愛していても良い」ということだったと振り返る。さすがに直近の10年になってくると親の寛容度も上がっているのかもしれない。

それにしても、思春期を経て高校生にまで成長して好意をもった異性にアプローチしたことを担任の教師からいちいち注意されるというのは、年頃の本人たちにとっては決まりの悪い学園ルールだ。だんだん薄まっているので、今は北京などの大都市では少なくなっているようだが、これが少し前までの中国では「基本形」だった。

ここで留意すべきは、中国に根付いている恋愛をネガティブに捉える考え方だ。人を好きになるのは非生産的で危険なことと若者たちは幼いうちから大人に教えられて育つ。これはなんとも残念だ。

結婚証明書なしでは男女は同じ部屋に宿泊できない

90年代に、中国の5つ星高級ホテルではなく、一般市民が利用するローカルホテルに泊まったことのある人なら、夫婦や子ども連れの家族で一つの部屋に一緒にチェックインする際に「(二人の写真入りの)結婚証明書の提示」を求められたことがあるだろう。「この子が我々の子どもです、我々は夫婦です」と両親そっくりの息子を指して言っても「子どもは何の証明にもならない」と言われた知人もいる。

中国のローカルホテルでは、結婚証明書なしには男女は同じ部屋には宿泊できないというルールがある。その頃まで中国では、夫婦と証明できない男女が同室に宿泊するとは、断じて許されない「品行不正」なる行為とされていたからだ。

この結婚証明書は、地方政府の民政局で結婚登記をすると数週間後に二人で一緒に撮る結婚証明写真入りで発行される。これは2005年ごろまで中国人の国内旅行の必須アイテムだった。