CASE3 大声で妻をののしる夫

C美さん(35歳)も夫のモラハラにおびえる妻のひとり。

「でも、ウチの夫の言動がモラハラだと知ったのはつい最近のこと。それまでは『夫を怒らせてしまう私が悪いんだ』『夫の言うことは間違っていないのかもしれない』と思っていました」

10歳年上の会社員の夫とC美さんが結婚したのは8年前。二人に子どもはおらず、現在C美さんは近所のスーパーマーケットでアルバイトをしている。

「夫は私より人生経験も豊富。経済的にも夫に頼るしかない私は、夫が明らかに間違ったことや理不尽なことを言い出しても逆らえませんでした。心のどこかで『夫婦とはそういうもの』という思いもありました」

C美さんが夫のモラハラに気づいたのは、同じマンションの隣の部屋に住む主婦仲間から「前から思っていたけれど、C美さんのダンナってモラハラ夫じゃない? 尋常じゃない怒鳴り声がウチまで聞こえてくるよ」と言われ、恥ずかしい思いをしたことがきっかけだった。

C美さんいわく、「夫のことは怒りっぽいとは思っていましたが、それは生まれつきの性格なのかと。ただ、思い込みや勘違いも多く、それを夫が怒っている時に私が指摘すると、手をつけられないほどエスカレートしてしまうこともたびたびあったんです」

C美さんのいちばんの悩みは「一度、怒りはじめると長い時で1時間は続く」という夫のキレっぷりだという。

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「怒っているうちに、いつのまにか事実が変わっていることも少なくないんです。たとえば、夫に告白されたから付き合ったのに、『お前が迫ってきたから付き合って結婚までしてやったのに、なぜもっとオレのことを大切にできないんだ』と責めたり、もともと自分の両親と折り合いがよくないのを『お前を守るために、両親とは縁を切ってやった』と私のせいにしたり。はじめは普通の声の大きさで怒っていても、しまいには必ず私への怒声が大きくなっている。今のマンションに引っ越す前のアパートでは、夫の怒鳴り声があまりにも大きくて激しかったので、警察を呼ばれたこともありました」

自分がやったことはなかったことに、自分にとって都合の悪いことはすべてC美さんのせいにする「モラハラ夫」に対し、C美さんはこれからの夫婦生活のあり方を真剣に考えはじめている。