お手本は育児をしながら時短勤務で働く社員
(2)やらなくていいことに一歩踏み出す
上記の塩見氏にとっては、毎週木曜の朝7時から9時という始業前に行うお見合いイベントは、別にやらなくてもいいことだった。むしろ法人営業担当としては、当初「そんなことをやっている暇があったら、お客を取ってこい」と上司から言われるような話で、社内でその仕組みを提案しても役員たちからも賛同を得られなかったのだ。
斎藤氏に至っては、トーマツという監査法人にとってベンチャー支援などというのは、会社の目的にも入っていないことであり、当然「おまえはなに寝ぼけたことを言っているんだ!」と上司たちからサポートを受けることはなかった。
やらなければならないことだけで山積みなのに、それ以上なんていったいどうやってできるのか⁈ と思う人へ。働き方改革で残業は大幅に減り、在宅勤務で自由な時間も増えた人が圧倒的に多いはず。
お手本は主に女性である育児をしながら時短勤務で働く社員だ。子供の預けお迎えという時間の制約の中でいかに仕事を効率的に片付け、それ以外の「子育て」という重要なことに対する時間を捻出して取り組んでいるではないか。時間で、考えると制約条件になるのであれば、あなたの仕事に投ずるエネルギー量の10%、あるいは5%でもよい。それならやりくりできるのではないか。
(3)上司の協力を得る
斎藤氏は、上司をリスペクトしながら、いかに対等に話をするかが重要と言いながら、同時に上司のインセンティブは何かを常に意識し、「上司に花を持たせる」「失敗の責任は自分が負う」ということで、自分の存在を認めさせていった。
ちなみに、塩見氏は、上司にやっていることを耳には入れても細かく伝えすぎないことを、上司のためにやっていた。なぜなら問題になったときに上司が監督責任を問われることを避けるためだ。上司が「それは知らなかった」と言えるような抜け道を作っておくこと。あくまで、やったことの責任は自らが負う覚悟が必要だ。
(4)社内外のネットワークを作る
塩見氏は、自分一人では力不足だと考え、外部の人たちとアライアンスを組み、ネットを駆使し、マスコミを巻き込み、協力会社を募り仕組み化をしていった。ネット上で自らの志を発信し、そこで共感して集まった一人が斎藤氏だった。