自衛隊活用論をめぐって

新・綱領教室』のポイントになるのが、下巻66ページで展開される「自衛隊活用の方針」だ。今回の出版意図について、志位氏は会見で「綱領を知ってもらうビッグチャンス。野党共闘でもプラスになる」と語り、「『天皇制廃止』『自衛隊解消』を当面棚上げするなどした2004年の全面改定、中国の覇権主義への批判やジェンダー平等の実現を盛り込んだ20年の一部改定を経たいまの綱領を解説した」と話した(朝日新聞デジタル、2022年4月14日)。

なかでも自衛隊については、「『日本が攻められたら竹やりで戦うのか』との批判に十分答えられず、当面存続を容認して段階的に解消する方針に至った経緯などが記されている」と説明した。これは2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受けての発言だ。志位氏は同年4月7日、「急迫不正の主権侵害に際しては自衛隊を活用する」と「綱領の意図に沿った」発言をしたと朝日新聞の記事は続ける。自衛隊の活用について、産経新聞も次のように伝えている。

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自衛隊と憲法9条は両立しないが…

共産は綱領を改定した約20年前から自衛隊に関して同様の見解を示してきた。小池晃書記局長は11日の会見で、「(党の主張が最近になって変わったと)言われるのは誤解だ」と述べつつ、「国民に私たちの立場が十分に伝わっていなかったことの反映でもあるのかなと思う。努力しなければならない」とも語った。

とはいえ、党の見解を変えるわけではない。志位氏は会見で「自衛隊と憲法9条は両立しないが、急迫不正の時には国民の命を守ることが政治の責任として問われてくる。当然、そういう時には自衛隊の皆さんに頑張っていただく」と従来の主張を繰り返した。

一方、共産は将来的に他党と樹立を目指す連合政権の対応に関しては、自衛隊を合憲視するとの立場だ。解説本では「自衛隊と共存する時期は、『自衛隊=合憲』の立場をとり、国民多数の合意なしに合憲から違憲への憲法解釈の変更はおこなわない」と明記している(産経ニュース、2022年4月13日