「70歳まで働く」ことがあたりまえになる日も近い

2021年4月から、従業員が望めば70歳まで働ける会社が出てきています(改正高年齢者雇用安定法)。

現在は、本人が希望したら、会社は65歳まで雇わなくてはならない義務があります。ですから、会社員の場合には、希望すれば65歳までは働けることが保証されています。

ただし、給料に関しての規定はないので、多くの会社では60歳になると給料がかなり下がることは覚悟しておかなくてはならないでしょう。

会社が従業員を65歳まで雇うというのは義務ですが、2021年4月から、ここにさらに努力義務として「できれば70歳まで雇用してくださいね」というのが加わりました。

これは、今のところは「努力義務」なので、本人が希望すれば必ず70歳まで雇わなくてはならないということではありませんが、いずれこの「努力義務」も「義務」になっていく可能性が高いので、40代、50代で会社勤めを続けるなら、70歳まで働くことを視野に入れておいたほうがいいかもしれません。

また、年金をもらいながら働く場合、60歳から65歳まで働く人は、以前は月の給与の額が1カ月28万円を超えると年金が一部カットになっていました。

これが、2022年4月からは47万円を超えるまでカットされないことになったので、ほとんどの方は稼げるだけ稼いでも年金はカットされないようになっています。

加えて、65歳以上の人が厚生年金保険料を支払いながら年金ももらって働く場合、払った保険料が、すぐに年金額に反映されることになりました。

こうした状況を見ると、高齢者になっても働き続けられる環境が整いつつあるということです。つまり、働けるだけ働きましょうということです。

その裏には、現在65歳の年金支給年齢が、70歳まで引き上げられるかもしれないという厳しい現実もあります。こうした現実に、今からしっかり備えていきましょう。

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会社を辞めるか、残るかは早めに決めておく

今、会社にこのまま残って働いたほうがいいか、それとも会社を辞めて新しいことを始めたほうがいいか、迷っている人は多いのではないでしょうか。

多くの人は、60歳が近づくと慌てて「会社に残るか辞めるか」を考えはじめますが、時間がないとより良い選択ができなくなる可能性があります。

ですから、早めに決めて、第二の人生の準備をしておきましょう。

その際にしっかりと考えておいたほうがいいのは、現実的な観点から、この会社にいたほうがトクなのか、辞めて新しいことを始めたほうがトクなのかということです。

まず、会社にいることのメリットとデメリットを、1枚の紙に書き出してみましょう。なぜ、1枚の紙かといえば、1枚に書くと、状況が見えやすくなるからです。

《会社に残るメリット例》
・仕事を失うリスクがなくなり、収入が確保できる
・「厚生年金」「健康保険」に加入できるので、社会保障が手厚い
・有給休暇や各種休暇など、勤続年数で取れる休みがたくさんある
・慣れた仕事の延長で、今のスキルでやっていけるので楽だ
・企業が有名企業なら、娘が結婚する時や金融機関からお金を借りるのに有利

《会社に残るデメリット例》
・役職定年などで、先付け給料が下がる
・役職定年で、かつての部下の下で働かなくてはならなくなるかもしれない
・会社が傾いたら、会社と一蓮托生いちれんたくしょうの人生になる危険性がある
・調子のいい嫌いな同僚が、自分よりも出世していくのがたまらなく嫌だ
・50代なら転職できても、60代になると転職も起業もできなくなりそうだ

一例ですが、こうやって実際に書き出してみると、漠然と考えているよりも現状認識がしっかりできて、自分が本当はどうしたいのかが見えてくるはずです。