20年間で女性議員が特に減ったのは長野と山梨

1999~2019年の20年間における女性割合の上昇ポイントを比べると、上位10位に東京(18.1%ポイント、1位)、京都(12.4%ポイント、2位)、神奈川(9.7%ポイント、8位)が入り、好条件に恵まれた議会がさらに女性議員を増やしていることがわかる。他方、鳥取、長崎、三重、秋田、山形、静岡は2%台の比率を10%ポイント前後で増加させている。こうした好事例とは対照的に、山梨はマイナス6.8%ポイント、奈良はマイナス1.1%ポイントである。

これは計測の起点を1997年とした場合の変化であるが、過去20年間の最高値を現在は下回っているのは北海道、長野、秋田、福島、茨城、福井、愛知、滋賀、広島、山口、香川、福岡、熊本、大分、沖縄と広範に見られる現象である。なかでも長野と山梨は5%ポイント以上の落ち込みである。

先の三要因に加えて、選挙区における1人区の比重も女性議員割合に大きな影響を与える。市川房枝記念会女性と政治センターによると、都道府県議会の1人区において女性が選出されているのは17選挙区であり、わずか4.1%にすぎない。2人区では13.1%であり、3人区でようやく31.9%となる。11人区以上では1選挙区の例外を除き、全ての選挙区に女性が選出されている。

1人区の比重は沖縄県の0%から岐阜県の65%までと大きな差があり、中央値は36.8%である。女性議員割合の高い都道府県議会は1人区の比重が低い傾向にあるものの、埼玉や兵庫は50%以上の選挙区が1人区となっているが、女性割合は高い。他方、香川や佐賀は1人区比率が23%程度だが、女性割合は低い。

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青森市内

都市部の市議会は女性が50%に迫る

自民党の女性議員が不在の都道府県議会は2020年4月時点で、18府県におよび、3人以上いるのは北海道、神奈川、京都、石川だけである。他方、女性を最も積極的に擁立しているのが共産党であり、1~2人の女性共産党議員がいるのが典型的な県議会の姿となっている。不在なのは群馬、石川、福井、愛知、島根、広島、山口、香川、愛媛、熊本、鹿児島と保守的な地域が多い。

市議会における女性割合は全体で16.2%だが、特別区議会では30.2%、政令指定都市の市議会では20.4%となっている(2020年現在。令和3年版『男女共同参画白書』)。都市部では女性が多いことがわかる。

※数値は2022年1月1日時点で最新 出所=『さらば、男性政治』 出典=三浦まり、竹内明香上智大学経済学部准教授「地域からジェンダー平等研究会」(事務局:共同通信社)

市川房枝記念会女性と政治センターの調べでは、2019年の統一地方選後、市区議会の女性割合が一番多いのが北海道江別市と東京都東村山市の48%、続いて大阪府交野市(46.7%)、東京都武蔵野市(46.2%)、東京都狛江市(46.2%)、東京都清瀬市(45%)、兵庫県小野市(43.8%)、北海道留萌市(42.9%)、愛知県大府市(42.1%)、東京都豊島区(41.7%)、東京都小金井市(41.7%)、東京都文京区(41.1%)、埼玉県吉川市(40%)、東京都中央区(40%)の13議会となる。3割を超す市区議会は67ある。

町村議会では奈良県王寺町が50%で、4割を超えるのは神奈川県大磯町、神奈川県二宮町、大阪府島本町、兵庫県播磨町、長野県飯島町、大阪府豊能町、埼玉県三芳町、山口県和木町の8つである。3割を超えるのは29議会ある。