「体調に異変があれば外出控えて」と呼びかけた矢先

この報道を知った時私は即座に、河野知事は「自身の体調不良を自覚しながら初詣に行った」のか、それとも「まったく無症状で初詣に行き、帰宅後に発症した」のか、そのいずれであるのかによって、この事件の扱いがまったく変わってしまうと感じた。

そもそも河野知事は、昨年12月27日に県独自の「医療非常事態宣言」を発令、自ら記者会見も行って「少しでも体調に異変がある場合」は外出・移動を控えてと県民に呼びかけていた。その知事が、もし自ら体調不良を自覚しつつ外出していたのであれば、県民を裏切る行為であるばかりでなく、人々の感染対策に対する認識と行動を根底から覆すことになりかねない重大な問題行為と言えるからだ。

そしてその私の懸念は、残念ながら的中した。河野知事は初詣に出向いた元日より前の12月30日には、すでに喉の痛みを自覚していたというのだ。じっさい知事の「河野しゅんじページ」というFacebookアカウントを見てみると、問題発覚後の1月5日の書き込み(以下「知事の書き込み」という)の中に、「いま振り返ると、12月30日から多少喉の痛みは感じていました」との記述が確認できる。

どうしても外出は避けられなかったのか

そしてその記述に続けて「選挙後ずっと喉がいがらっぽい状態が続いており、選挙で喉を酷使した影響によるものと考えていました。倦怠けんたい感なども、1日夕方まではありませんでした」と記されており、知事は元日の「14時頃に、初詣のため宮崎神宮・宮崎県護国神社を訪れ」た時点では、自身がコロナに感染している可能性をまったく認識していなかったとの主張が読みとれる。

知事が初詣の時点で「もしかしてコロナに感染してしまったかも……」と思っていたかどうかはわれわれにはもちろん検証できないが、少なくとも県民に対して外出・移動を控えるよう要請していた「少しでも体調に異変がある場合」に該当していたことは間違いなかろう。そして県のトップそして感染対策を主導する立場として県民に範を示すべく、外出は避けねばならなかったはずだ。

そもそも「どうしても外出が避けられない事情」というものは存在するのであろうか。もちろん個人個人にはさまざまな事情があろう。体調不良と事情を天秤にかけて、たいした体調不良でなければ多少無理をしてでも外出を優先してしまうことも現実問題あるだろう。体調不良の原因が感染症でなければそういう自己判断もあるかもしれない。