手取り額24万円のベトナム人

アイ・エス・フーズで働くグエン・ティ・トゥイ(33歳)は、2017年7月に来日。その後3年間の技能実習を終え、特定技能に移行した。給料が2万5000円上がり、手取りは24万円程度ある。

実習生時代は寮の相部屋だったが、今は1人部屋になった。

トゥイの両親は農家。高校卒業後、残業代が多くて人気のあったベトナム・バクニン省にあるサムスン電子の工場で働いた。

3年ほど働き、母の農家を手伝うようになった。

「ベトナムの農家は稼げない。実習で日本に行った友人の話を聞いて、私も日本で働きたいと思うようになりました」

職業紹介料や日本語教育費、そのほか、書類の手続き費用なども含め約100万円を送り出し機関に払う必要があったが、ベトナムの政府系銀行の1つで、地方都市にも大きく展開するアグリバンク(ベトナム農業・農村開発銀行)からお金を借りた。実習生、御用達の銀行だ。

「労働力輸出」を国策とするベトナム。送り出し機関に所属することを示す書類と、日本企業との労働契約書があれば、お金は借りられる。

土地や車を担保にする必要はあるが、そもそも車を保有している家庭は少なく、土地を担保とすることが大半だ。

USJにも連れていってくれた

トゥイは日本で働き始め、毎月最低10万円は送金し、約1年半で返済を終えたという。

お金を貯めて「家を建てる」のが夢だったが、新しい夢もできた。

「ベトナムに帰って、日本で学んだネギを作りたい。ベトナムでもネギはありますが、日本のネギのように甘くなく、辛い。会社の人はみんな優しくて、コロナ前はユニバーサル・スタジオ・ジャパンに連れて行ってくれたり、コロナ後も花見のシーズンは桜の名所に連れて行ってくれたり、とても感謝しています。ベトナムでネギを作り、帰国してからもアイ・エス・フーズと仕事をしたいです」

写真=iStock.com/NonChanon
USJにも連れていってくれた(※写真はイメージです)