実習生採用後、会社は急成長

当初は淡路島の名産であるたまねぎの生産も考えたが、「後発でたまねぎをやっても難しいとアドバイスを受け、ある知り合いの青果店さんから『淡路島にネギはないのか?』と聞かれたのが、ネギの生産を始めたきっかけです。ラーメンやうどんなどの外食需要が膨れるなか、加工用の青ネギに大きな需要があったんです」

ネギの収穫は手作業だ。腰をかがめ、鎌を使っての収穫は重労働だ。機械で収穫すると、少し倒れたネギもなぎ倒してしまい、収量が落ちてしまう。

実習生の採用を始めたのは2014年だ。酒井はこう振り返る。

「監理費を払ってまで外国人の実習生を雇うことに、最初は抵抗がありました。だけど、パート労働者も高齢化し、まったく人が集まらない」

そして、こう続けた。

「実習生の仕事ぶりを見ると、日本人の40代、50代のパートの1.5倍は働くし、途中で辞めたりしない」

畑で作業するベトナム人
撮影=澤田晃宏
外国人は日本人パートの1.5倍は働いてくれる

当初、2名だった実習生だが、2021年2月時点で13名のベトナム人(うち2名は特定技能に移行)が働く。実習生採用後、会社は急成長し、年商は5億円を超えた。

「会社が大きくなったのは実習生のおかげ。恩返ししたい」

そんな思いから、酒井は帰国する実習生に、声をかける。

「ベトナムでネギを作らないか?」

種を送り、収穫したネギは酒井が買い取る。そうして、ベトナムに戻って日本にいたときと同程度の収入を確保できるようにしている。

コロナ下でプロジェクトが止まっているが、ベトナムに会社を作り、日本で実習を終えた実習生が働く場を生み出すことを考えている。