タバコやアルコールと並んでリスクが高い
また、そのリスクの増加幅というのは、100gの増加で約1.2倍といったところでした。これは、赤い肉、加工肉単独でもそれぞれ評価されていますが、同様の相関が見られたことが分かっています。
このようなデータを根拠に、赤い肉、加工肉は、ともにタバコやアルコールと並んで、米国がん学会により「グループ1の発がん物質(確実なもの)」としてリストアップされています(注5)。
「○○という製品から発がん物質が検出された」などというニュースを時々見かけますが、実は飲み会でアルコールを飲み、牛肉や豚肉の料理を食べていれば、もうダブルで発がん物質を摂取していることになるのです。
脳卒中や心筋梗塞との関連も指摘されている
ただ、もう一度おさらいですが、あくまでこれらは「相関」なので、間に何か挟まっている可能性なども頭に入れておかなくてはいけません。例を挙げてみれば、赤い肉を多く食べる人は、魚をとらない傾向にあり、実は魚をとらない傾向こそが発がんリスクに影響していたというような関係が成り立つ可能性があるということです。
しかしいずれにせよ、自分の食生活を振り返って赤い肉や加工肉を多く摂る生活を送っているのであれば、大腸がんのリスクが高い生活を送っているといえるかもしれません。
また、赤い肉や加工肉の摂取には、脳卒中や心筋梗塞、死亡リスクの増加との関連性も指摘されています(注6)。がんとの関連にとどまらず、実は数多くの疾患との関連が指摘されているのです。これは、特に摂取が急速に増加している日本でこそ見逃せないリスクともいえます。
さらに、赤い肉については、昨今の温暖化との関連も見逃すことができません。
牛は、農業界で気候変動に寄与する温室効果ガスの1番の産生源であることが知られています(注7)。牛のげっぷに含まれるメタンの量は、1頭あたり年間100kgにも上るといわれており、さらにメタンは二酸化炭素の28倍もの力で温暖化に寄与するとも考えられています(注8)。
牛の直接的な影響だけではなく、牛を育てるための牧場や餌の確保などで、人間の食物を育てる機会が失われ、先進国の肉の消費のために、発展途上国の食品確保の機会を奪い続けていると考える専門家もいます(注9)。