日々の食事は腸内環境にどのように影響するのか。「ウンチ博士」として知られる辨野腸内フローラ研究所の辨野義己理事長は「肉だけを食べ続ける調査ではビフィズス菌が4分の1も減り、悪玉菌が2倍近くに増加した。腸内バランスを整えるには、しっかり野菜をとることに加えて、ビフィズス菌を増やす効果のあるオリーブオイルや緑茶がおすすめだ」という――。

※本稿は、辨野義己『最高の睡眠は腸活で手に入る』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

赤身肉
写真=iStock.com/magnetcreative
※写真はイメージです

40日間、肉だけを食べる“人体実験”

私は長年の研究生活の中で、いわば人体実験ともいえる調査も試みてきました。

その一つが「一日に1.5kgの肉だけを40日間食べ続けて、ウンチの変化を調べる」というもの。私が30代のときのことですから、今ではとてもできない調査です。

朝・昼・晩とステーキや加工肉を食べ、野菜はおろか、ご飯やパンも口にしないというもので、20日を過ぎたあたりで同僚は脱落していき、私一人が貫徹しました。

私はもともと偏食気味で肉は大好きだったのですが、実験が進むにつれて体臭がきつくなり、皮膚が脂っぽくなります。エネルギッシュさはあるものの、一方で朝起きても疲れが抜けない感覚がありました。肉のとりすぎは、眠りの質も落とすのかもしれません。

もともと便通はよいので便秘にはなりませんでしたが、ウンチは典型的な悪い例そのものでした。だんだんと黒ずんでいき、最終的にはタールのような黒褐色になり、排便すると自分でも耐えられないほどの悪臭が漂うのです。

健康を保つには、肉プラス野菜3倍

腸内細菌はビフィズス菌が4分の1も減り、悪玉菌が2倍近くに増加。しかも便の量は減っていました。ウンチが食でいかに変化するかが実感できる体験でした。動物性脂肪をとりすぎると、悪玉菌によって発がん促進物質である二次胆汁酸がつくられますし、“肉のとりすぎにはリスクがある”と、改めて警告をしたいと思います。

昨今はご高齢でもたっぷりのお肉をペロリと召し上がる人もいらっしゃいます。私からの提案は、“お肉を食べるならその3倍の野菜を一緒にとる”ことです。肉を100g食べたいなら、300g分の野菜をしっかりとること。

肉には、体をつくるために不可欠なタンパク質が豊富ですし、食べる喜びをかきたててくれます。だから、ゼロにするのではなく、野菜を十分にとって腸の健康を保ちながら、食べる工夫をすればよいのです。