年金の総額を左右する「平均余命」
年金の総額をもっとも多くするため、自分が何歳まで生きるかがはっきりわかっていれば、悩む必要はありません。
仮に「80歳が自分の寿命」と決めてみると、60歳からの「繰り上げ受給」で20年間、年金を受け取り続けたほうが、65歳や70歳から受け取るより、年金総額が大きくなることがわかります。
とはいえ、「自分が何歳まで生きるか」は、誰にもわかりません。
そこで、まずは平均余命で考えてみます。
平均余命とは、ある年齢の人が「あと何年、生きることができるのか」という期待値です。厚生労働省が公表している簡易生命表で、例えば、「現在、55歳の人の平均余命は男性で28.58年」、つまり、「いま、55歳の男性なら平均的にはあと約29年間、84歳になるまでは生きられるだろう」というように知ることができます。
「図表1」で示した簡易生命表(令和2年)によると、64歳のAさんは平均的にはおおよそ85歳までは生きられるということになります。
ちなみに、0歳の人の平均余命が、いわゆる「平均寿命」で、簡易生命表では男性が81.64歳、女性が87.74歳です。