「社会人は職場で学べ」を変えていくべき
もともと日本の大学院は研究者養成が中心でしたから、普通の職業人たちに勉強してもらおうという意識がなかったのです。そうした社会人を教えられる大学の先生が少ないという問題もあります。この背景には、「社会人は、学校ではなく職場で実際に仕事をしながら学んでください」という考えがあってのことなのでしょう。
しかし、時代は変わってきています。日本の大学、大学院も世界の潮流に合わせて変わっていくべきだと思います。昭和女子大学でも社会人向けの専門職大学院が2023年からスタートします。
「仕事の能力は学歴ではない」という知恵
一方で、日本における大卒に対する評価も変わりつつあります。一昔前までは「大学を出ていること=幹部候補生」でしたが、現在は専門学校を出た人、あるいはそういったところから叩き上げで社会に出てオン・ザ・ジョブで仕事をする人、高等専門学校(高専)を出た人の評価が高くなっています。
さまざまな企業、特に中堅企業あたりでは、東大卒を採用して失敗した話はたくさんあるけれど、高専卒を採用して失敗した話はないといわれており、高専卒は高い評価を得ています。これらは、「仕事の能力は学歴ではない」という失敗を経てつかみとった知恵なのかもしれません。
今や人生100年時代といわれ、「学び直し」にスポットライトが当たる機会も増えてきました。「大学は高校を卒業した人だけが行くところ」ではなく、「学びたい」と思ったあらゆる世代の人が行く、そんな場所になりつつあります。大学側も、もっと門戸を広げ、いろいろな人に教育の機会を提供していくべきではないかと私は考えています。