長野県民の平均寿命の長さは有業率の高さと関係している

2015年の都道府県別生命表によると、長野県民の平均寿命は、女性が87.67歳で全国第1位、男性が81.75歳で第2位でした。1990年以降、長野県は男女ともに全国1位を何度も記録しています。

この状況を受け、長野県は長寿の理由を分析したところ、「県民の高い就業意欲や積極的な社会参加」「地域において医療保険活動が活発に行われたこと」「健康ボランティア活動が活発であること」などを挙げています。

確かに長野県は、65歳以上の高齢者の有業率は男性が41.6%で全国1位、女性が21.6%で1位です。このことと長野県民の長寿は関係があると思います。

なぜなら、働くことはフレイル予防にはもってこいだからです。家から出るので足腰が鍛えられて「身体的フレイル」の予防になります。仕事仲間と会話をしたり、何か楽しみを見つけられれば「精神・心理的フレイル」や「社会的フレイル」からも遠ざかることができます。脳も使うので、認知症予防にもなるでしょう。

体がまだ元気ならば、定年を迎えたからといって家の中に引きこもるのはもったいないと思います。たとえアルバイトやパートであっても、外に出て働くほうが、さまざまな面で健康長寿に寄与するといえるでしょう。

もちろん、必ずしも仕事として働く必要はありません。地域のボランティア活動に参加するもよし、趣味のサークルに積極的に参加するもよし。外に出てやりたいことを思う存分やるのが、長寿のヒケツなのです。人生100年時代、60代70代で隠居なんて、早すぎると思いませんか?

「部屋の片付けが億劫」そんなところから老化は進んでいく

部屋の片づけが億劫で、モノがあふれかえっている人はいませんか? 私は何千人ものご高齢の患者さんと接してきましたが、うつ症状があったり、認知機能が低下したりしている人は、部屋の片づけやお化粧といった、それまで当たり前にできていたことができなくなっていく傾向にあります。

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老化と一言で言っても、さまざまな側面があります。筋肉や骨が衰えていく「身体的フレイル」に、気力ややる気がなくなっていく「精神・心理的フレイル」、閉じこもりや独居などの「社会的フレイル」など……、複数の要素が絡み合って老化は進行していきます。

部屋の片づけが億劫になるのは、このうち精神・心理的フレイルが進行している状態です。しかし、動かない生活で足腰が弱れば身体的フレイルも、そして部屋の中に引きこもってしまえば社会的フレイルも、同時に進行してしまいかねません。