日本一有名な天才万引きGメン
伊東ゆう氏の教え
現在、日本一有名な万引きGメンは、伊東ゆう氏である。私のことを「広島の同志」と呼んでくれる彼はまさに「天才」で、これまでに5000人以上を確保し、3冊の書籍を出版している。そして、万引き犯の特徴に「2個取り」(=同じ商品を2個重ねてつかみ取る)と、「バードハンド」(=商品を隠すように手の内につかむ、わしづかみ)などがあることを指摘。「万引き犯には顔がある。それを私は『マンズラー(万面)』と呼んでいる」と言っていたことも思い出されます。
なぜスーパーは万引きGメンを雇うのか
ここまで万引きGメンの“生態”について説明してきましたが、もしかして基本的なことに疑問を持たれている方もいるかもしれません。
それは「どうして警察が万引き犯を取締まらず、Gメンがその役割を背負っているのか?」ということです。強盗や暴行、殺人などは、当然ですが警察が捜査から犯人逮捕までを担当します。民間の警備組織がそこに関わるというのは聞いたことがありません。ではどうして万引きだけは警察が関与してくれず、Gメンという存在が必要なのでしょう。
それは一言で言うと、警察には万引き犯が捕まえられないからです。この言葉にはいろんな意味が含まれます。
まず万引きは必ず現行犯で逮捕しなければならないという鉄則があります。強盗や暴行、殺人は事件が起こった後でも、現場の状況や物的証拠から犯人を割り出すことが可能です。しかし万引きは盗まれる商品も大量生産された無記名なモノであり、いつ、どこで、誰が、何を盗んだかということが特定しにくい犯罪です。
ただでさえ忙しい警察官が四六時中スーパーやディスカウントストアに張り付いて目を光らせているというのはありえないことです。万引きというのは比較的軽微な犯罪とみなされており、膨大な事件捜査や交通整理などの業務にも追われる日本の警察のリソースを考えた時、彼らに頼るというのは限界があります。簡単に言えば、警察には万引き犯まで手を回す余裕がないのです。