肝いりの「一帯一路」もフェードアウトしつつある
【梶谷】しかし、この一帯一路もすでに尻すぼみです。というのも一帯一路が提唱された初期は人民元がドルに対して高くなっていた時期で、世界から中国にマネーが流れ込む資本過剰の状況にありました。しかし今のトレンドは元安に変わり、むしろ資本流出を心配しなくてはならない状況です。さらに長期的に考えても、人口減少に伴う貯蓄率の低下によって資本はむしろ縮小へと向かう。
さらに「途上国を苦しめる債務の罠だ」「国際社会の秩序を変えようとしている」という批判が寄せられたことは、中国政府にとっては思いも寄らぬ逆風だったのではないでしょうか。実は習近平総書記も最近では一帯一路という言葉をあまり使わないようになり、徐々にフェードアウトを目指しているように見えます。
——3人のお話を聞いて強引にまとめてみます。「統治」「経済」「外交」の3要素で評価すると、統治は○、経済は先行き不安の△、外交は国際的地位を高めたものの中国脅威論の台頭を招いたという意味で△といったところでしょうか。
「強いリーダーを作り出す」という中国共産党の大胆な賭け、それが果たしてリスクに見合うだけの収穫をもたらしたのかが問われています。