民主党は都市部の地盤が強い政党です。「一区現象」という言葉があるように、地方でも県庁所在地のような都市部で支持を集めやすい傾向があります。一方、自民党は農漁村といった田舎に強固な地盤を持っています。民主党は自民党の地盤に切り込むことができないので、追い風に乗れば一度は自民党に勝てても、2回連続で総選挙に勝つことは難しいのです。
そうである以上、自民党が政権に復帰することは明らかなのですが、公明党を自民党との連立野党に追いやってしまいます。自民党は、一緒に野党暮らしをしてくれた公明党に逆らえなくなってしまいました。
公約詐欺と呼ばれる現象は、民主党の構造的な要因によるものです。同じ政党に旧社会党左派のような人から、自民党右派のような人まで同居しています。たとえば、元は民社党に所属していた保守系議員の西村眞悟と、社民党出身の左翼活動家として有名な辻元清美が同じ政党にいたこともあるくらいです。
政策をマトリクスにすると、自民党が真ん中から極大までカバーする包括政党であるのに対し、民主党は四隅の極点が一緒になっている政党なのです。このため、どのような政策でも自民党と被ります。予算をいくら組み替えようとしても、従来とは別の分野でバラマキをするだけなので、公約が達成できるわけがないのです。
ならば、自民党政治に不満を持つ国民にしてみれば「やっていることが同じなら、下手な賭けをするより自民党でいいや」と消去法で自民党が支持される状況は変わりません。
官僚の振り付けを否定するけれども踊れない民主党よりも、官僚の振り付けで踊るのが上手い自民党を、国民が選ぶのは自然でした。
まとまりが無さ過ぎて売国する能力すら無かった
民主党は、よく「売国政党」と言われます。正確には、まとまりが無さ過ぎて売国する能力すら無かった政党です。
民主党政権当時、一貫して力を握っていたのは、参議院のドンの輿石東です。元は小学校の教員で、日教組を支持基盤に社会党公認で政界に入った人です。ただし、いわゆるリベラルの中ではノンポリのような人。自民党の青木幹雄と懇意でもありました。
鳩山内閣は、経済で何もできないわ、政権担当能力がないわで、支持率は低下の一途をたどります。平成21(2009)年11月から12月頃が急降下の時期です。鳩山内閣は成立直前からずっとドタバタです。
内閣成立直後の10月21日に日本郵政社長人事で元大蔵事務次官の斎藤次郎の天下りを決めて「改革をする気があるのか」と反感を買ったのにはじまり、失望感を広げます。