「商品やイベント情報を主に発信していたのですが、いまいち反応が得られず……。そこで他社のツイートを参考にしたところ、担当者の趣味の話で盛り上がるなど、コミュニケーション目的に使っていることがわかりました」

これを参考に、本田さんもつぶやく内容をシフト。日常の出来事などを発信したところ、徐々にファロワーも増加した。さらに、09年11月には、同じくツイッターユーザーでユニークな楽器をプロデュースしているアーティストが渋谷店に来店し、「商品をここで宣伝したい」と投稿したのを知った本田さんは「どうぞやってください」と返信。このやり取りに他のユーザーが飛びついて思わぬ盛り上がりを見せ、クリスマスには実演イベントにまで発展した。その際は決して安くはない楽器が瞬く間に150個以上も売れたという。

チラシは今でも重要な販促ツールだが、顧客との双方向のやり取りには発展しづらい。ツイッターはそこを補完する役割を担う。

「今年のバレンタインイベントでは、フォロワーの皆さんに『プレゼントする際のメッセージを投稿してください』とお願いしたところ、300件以上の応募が集まりました。ネットで人気のモデルを招いて手づくりチョコをつくる店頭イベントにまでトントン拍子で話が進み、ツイッターの影響力を実感したものです」

本田さんがツイッターで情報発信するルールとして決めていることは、「接客と同じ基準」にすること。店頭に立っている気持ちで言葉を選び、問い合わせに応対しているという。

さらに東急ハンズでは、ツイッター上でユーザーが欲しいものや探しものについてつぶやくと、在庫状況や陳列フロアを教えてくれる「コレカモ.net」も展開。ツイッターを利用したマーケティングにも着手し効果を上げている。ITの活用で、消費者との双方向コミュニケーション、さらにはマーケティング環境を確立しつつあるといえるだろう。