つまり、プロジェクトが混乱し立ち往生しそうな場面でも、PMPを取得していれば我流ではない標準的な判断を提示し、メンバーを納得させたうえで軌道修正を図れるわけだ。

「今でもプロジェクトで困ったときはPMBOKに目を通します。私にとっては保険であり、お守りのようなものです。PMPを取得して名刺に印刷しているお客様やビジネスパートナーの方と出会うと、非常に盛り上がりますね。この資格を持っているとお互いに『標準の知識を持っている本物のプロジェクトマネージャー』と認識できるのです」(鬼束氏)

鬼束氏がPMP取得のために費やした勉強時間は120時間。現在は社内インフラ標準化プロジェクトのプロジェクトリーダーという重要なポジションで活躍している。

さらに会社の業務だけでなく、鬼束氏はボランティアとしてPMI日本支部のセミナー委員会で企画運営に携わっている。このボランティア活動を通じて形成された業界を超えた人的ネットワークと、そこから得られる情報が大きな財産になっていると鬼束氏は語る。

鬼束氏のケースを見ると、明確な目的意識に基づいて資格の取得に取り組み、業務そのものや自分自身のプロフェッショナル性を表す看板として役立てるとともに、社外の人脈形成にまで活かしていることがわかる。

資格の取得で最も大切なことは取った後、それをどう活かすかである。「とりあえずなんとかなるだろう」という発想は捨て、「その資格を使って何をするか?」という視点を持たねばならない。

※すべて雑誌掲載当時