加えてセガールは、「そしてゼレンスキーは、ジュネーブ条約への違反に加えて人道上の犯罪という観点でも、拷問など残虐行為への責任がある」と述べ、ゼレンスキーが口封じのためにウクライナのネオナチに被弾させたとの独特な見解を示している。

これに対し同記事は、セガールの理論が米国の分析結果と一致しないことを指摘し、「陰謀論的観点」だと一蹴している。

日本で学んだ「合気道の精神」はどこへ

セガールが惚れこんだ合気道の基本精神に、むやみに相手と強弱を競わないという考え方がある。

小国を侵略する大国・ロシアを支持する今のセガールに、かつてこの理念を門下生に説いたであろう師範としての威厳は、残念ながら微塵も感じられない。

セガール本人は武術を極める理由として、健全な精神の発露に欠かせないためと説明している。しかし、プーチンとの密接な関係に甘んじるいま、かえって肉体の研鑽が必ずしも健全な精神の発達につながらないことの広告塔となってしまった。日本で合気道の技を磨く人々にとっては迷惑にほかならず、アメリカはじめ海外における合気道の評判を凋落させることにもつながりかねない。

以前セガールは俳優業と並行して、米ルイジアナ州の保安官代理としても活躍し、アメリカ市民の安全を守っていた。しかし、2015年には反米・反NATO国のセルビアから特殊部隊に合気道の訓練を施すよう依頼され、翌年にはセルビアの市民権を授与されている。日本で体得した武術やアメリカで築き上げた評判を基に、反米国での生活基盤を築き上げているかのようだ。

かつては映画スタジオのカメラを通じ、テロリストと闘う勇姿を披露してきたアクション俳優、スティーブン・セガール。いまや報道カメラを通じ、かつてファンだった世界の人々に醜い実態を晒す立場となった。

筋書きのない現実世界で正義を示せるか、プーチンとの間合いの取り方が問われている。

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