欧米メディアが報じたアメリカ人俳優の凋落

アメリカのベテラン俳優、スティーブン・セガール。『沈黙の戦艦』などアクションを中心に70作以上の出演をこなしており、日本にもファンが多い。合気道に剣道、カンフーなどを取り入れた多彩な動きで観客を魅了し、スクリーンにはその巨体が軽やかに舞う。

アメリカの俳優、プロデューサー、脚本家のスティーヴン・セガール
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2019年6月7日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)に訪れるアメリカの俳優、プロデューサー、脚本家のスティーブン・セガール

かなりの親日家としても有名だ。現在は70歳となったセガールだが、17歳の若き日、入れ込んでいた合気道の道を極めるべく日本へ渡航している。滞在は15年間にも及び、いつしか黒帯6段を取得。外国籍としては初となる道場を日本に構えるまでになった。合気道が結んだ縁で日本人女性と知り合い、2人の子をもうけている。

大阪弁を堪能に操るセガールは、デビュー作となった88年のハリウッド映画『刑事ニコ/法の死角』で早くも流暢な日本語を披露。作中では道場に通う門下生たちを温かくも厳しく指導した。

劇中世界でロシアと結びついたギャングを相手に果敢に闘ってきたセガールだが、残念なことに近年、現実世界ではプーチンを礼賛する広告塔に成り下がってしまったようだ。欧米メディアは、氏がウクライナ侵攻に関して、ゼレンスキー大統領が自国の捕虜収容所にロケット弾を打ち込んだとの陰謀論まで語るようになったと指摘する。

映画ではロシアギャングと闘っていたのに…

武術では、肉体と精神が渾然一体となって最大の力を発揮する。

ことセガールが愛した合気道は、敵を倒すことを究極の目的としていない。その根源的なねらいは、修練者自身の心身を向上させることにこそある。

試合では相手を制することこそ求められるが、合気道の技はいかに相手を傷つけず制するかを基本思想として発展してきた。