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産経デジタルが“お金”を稼ぎ出す仕組み!

「産経新聞では月に315円払うとパソコンで紙面が読める『ネットビュー』のサービスを展開しています。そのインフラを利用して、レイアウトをそのままiPhoneに移植したので、初期費用がほとんど発生していないんです」(産経デジタル・近藤哲司CEO)

この“移植”は、ほとんどの新聞社のインターネット事業が赤字で苦戦する中、前年度決算で経常利益7億7000万円を叩き出した産経デジタルのお家芸でもある。産経新聞の編集局から上がってきた記事をインターネットのサイトに掲載して広告収入を稼ぎ、同じコンテンツを有料の携帯情報サービスでも活用。またヤフーや新幹線の電光掲示板などに配信することで、ニュースの配信料も新たに稼ぐ。こうした「1粒で5つも6つもおいしい」マネタイズの仕組みが完成しているため、iPhoneサービスは実現した。

「しかしいつまで無料を続けるのか、それとも課金システムに移行するかは検討中。われわれは新聞の将来に危機感を抱いていて、今はマネタイズよりもできるだけ多くの人に新聞を見てもらいたい。だから当面無料で配信しているのは、情報感度の高いiPhoneユーザーが、新聞をどう感じるかという実験なんです」(近藤CEO)

ユーザー側からすれば、当面の間は新聞がタダで閲覧できる。またこれを機に新聞の面白さに触れた新世代の読者と、次なるビジネスモデルを模索する新聞社が出会い、新しい形の無料新聞が誕生する可能性もある。実験的な“無料”が新聞の未来に風穴を開けることができるか、注目したい。

※すべて雑誌掲載当時