勉強の時にねこ背になったら「脇をしめようか」
「子どもがねこ背になっているのはどんなときですか?」と質問するとよく返ってくる答えの一つが、「勉強しているとき」です。
たしかに、大人でも仕事に夢中になっているときは、パソコンや机に向かって前のめりの姿勢になりがちです。子どもはパソコンよりもプリントや問題集に向かっている時間のほうが多いですが、基本的には大人と一緒で、夢中になると前のめりの姿勢になります。
実を言うと、この姿勢になってしまうこと自体を「やめる」のはなかなか難しいです。姿勢を気にするあまり、集中力を欠いてしまっては元も子もないからです。
ただ、集中時のこのねこ背姿勢を少しでもマシな状態にするためにできることはあります。それが、「脇をしめ、体の傾きを腕でロックする」方法です。
夢中になって机に向かっていると、自然と脇は開き、肘が外側に向かいます。その上に上半身が倒れ込むような姿勢になっている子がほとんどです。
体の傾きを物理的にロックすることができれば、姿勢はかなり改善されます。そのためには「前腕」を使います。前腕とは、腕のうち、肘から手首までの間のことです。
次のイラストのように、両腕の前腕を机のふちにあてるようにすれば、体が前に倒れ込むのをいくらか抑えることができます。ポイントは脇をしめることです。
この姿勢は子どもにも無理がなく、いたって自然な体勢です。少しずつ脇が開いて体が前に倒れ込んできたら、「脇をしめようか」と一声かけてあげましょう。すぐによい姿勢に戻れるはずです。
「ねこ背になっているよ!」「背中を伸ばしなさいってば!」と口うるさく言いすぎると、反発する子もいます。
ねこ背を責めるのではなく、「こうするとラクだよ」「こうするといい姿勢でいられるよ」と具体的な方法を教えてあげられると、子どもは案外素直に言うことを聞きます。
背中をさすってねこ背の形状記憶をリセット
もうひとつ、おすすめなのが「背中シュッシュ(背中さすり)」。
勉強中の子どもにしてあげると気分転換になるうえ、自律神経が活性化されてやる気スイッチが入りやすくなります。勉強中に眠くなってきた子には、とくに効果的です。
ねこ背の子どもは、その姿勢を「当たり前」として身につけてしまっています。このような現象を「ねこ背の形状記憶」と呼びます。もともとねこ背なのではなく、筋肉や骨格が「ねこ背仕様」になってしまっているのです。
ねこ背を形状記憶してしまっている状態から、「元の正しい姿勢」を一瞬で思い出させる方法が、「背中シュッシュ」です。