2.二流の上司は、「会社の決定だから」と腰の引けた回答をする

二流の上司は日頃の言動に主体性がありません。そんな調子ですから「なぜオフィスに行く必要があるのですか?」という部下の問いに対して「(オフィス勤務は)会社の決定だから」といった腰の引けた回答になりがちです。これではどうしても責任回避として映ってしまい、部下からの深い支持を得ることができません。

やはり理想は会社の方針とは別に、「自分自身の意見や主観を添える」「決定の理由や背景を丁寧に説明する」といった配慮が必要になってきます。例えば「世論の後押しもあって一時的な有事対応としてリモート勤務を施行したが、当社の標準ルールとして今後も継続的に施行していくには労災問題や機密情報の扱いなど明確にしておくべき懸案事項も幾つか残っているため、現時点では慎重な姿勢をとっているというのが現実だと思う」といった内容を自分の言葉で添えられるかどうかで、部下が受ける印象は大きく変わるのです。

図表=筆者作成

3.一流の上司は、相手の心情を汲み取り、納得が得られる回答をする

一流上司は、さすがというか、相手の心情を汲み取った上で、自然と納得が得られるような回答を行うことができます。仮に部下に対して「原則オフィス勤務」を求める場合にも、しっかりと相手の意見やプライベートな事情にも耳を傾けた上で、「まず週2回の出社から慣れていこう」といったリーズナブルな提案・交渉をすることができます。

その際、「出勤は評価・出世に有利に働く」や「リモートはいろいろと不便」といった、メリット・デメリットを前面に押し出し過ぎると、押し付けがましく聞こえたり、脅しに感じられたりすることもあるので注意が必要です。

一流上司は「出社」の意義をしっかり説明できます。例えば「仕事は現場で対処するのが最も効果的。それは客先かもしれないし、工場かもしれないし、オフィスかもしれないし、パソコンの画面内かもしれない。共通するのは、人が集まる“場“であるということ。そもそも人は互いに影響を与えたり、与えられることで成長していける。それはもちろん画面越しでもいいんだけど、リアルに時空を共有できて初めて通じることもある。それが出社の意義なんだと思う」。もちろん、これが言えるのは「出社する価値のある職場」「出社する意義を感じられるようなチームワークのある職場」を作り上げていることが前提です。

図表=筆者作成