日本は最も高齢化が進むにもかかわらずコロナにうまく対応した
2020年はじめから、僕はIHMEのチームにCOVIDについての質問を浴びせてきた。知りたかったのは、COVIDに最もうまく対処している国に共通するのは何かだ。そうした国がすべて正しくおこなったことは何か。この問いへのあるていど確かな答えが見つかれば、最善の取り組みを理解でき、ほかの国にそれを採用するよう促すことができる。
まず必要なのが成功を定義することだが、これは思うほど簡単ではない。ある特定の国で、COVIDにかかった人がそのために亡くなる頻度を単純に把握することはできない。若者より高齢者のほうがCOVIDで亡くなる可能性が高いので、数字に歪みが生じ、高齢者が特に多い国はほぼ必然的にほかより悪い結果が出るからだ(世界で最も高齢化が進んでいるにもかかわらず、特にうまく対処した国が日本である。どの国よりマスク着用義務が遵守されていたのがその成功理由の一部と考えられるが、おそらくほかの要因もあった)。
コロナ対策の成功の尺度は「超過死亡数」で見るべき
ほんとうに目を向けるべき成功の尺度は、病気の全体的な影響を捉えた数字である。COVIDの患者で病院が手いっぱいになり、そのために治療が行き届かず心臓発作で亡くなった人も、COVIDそのもので亡くなった人と同じく数に入れられるべきだ。
まさにそうした数字を示す尺度がある。超過死亡数(あるいは超過死亡率)と呼ばれるもので、COVIDによって直接亡くなった人に加えて、波及的に生じた影響によって死亡した人もそこに含める(国の人口規模を考慮に入れるために、単位人口あたりの超過死亡数で示される)。超過死亡が少なければ少ないほど、うまく対処しているということだ。実のところ、なかには超過死亡がマイナスの国もある。COVIDによる死者が比較的少なく、人が家にとどまることが大幅に増えたために交通事故やその他の致命的な事故も減ったのがその原因だ。