感染して目の当たりにした2つの問題点

主たる喫緊の問題は2点だ。まず第1は、発症後いかに速やかに検査に到達できるかだ。前稿にも書いたが、検査には抗原検査とPCRがある。精度からいえばPCRであるに越したことはないが、正直なところ、現状そんな悠長なことは言っていられない。

抗原検査は見逃しがあるため陰性は信用できないが、有症状で陽性ならばほぼ診断は間違いない。しかも結果はすぐに出る。各家庭内に十分な数のキットがあれば、検査のためだけに発熱外来を受診する必要はないのである。

もちろん発熱はコロナだけとは限らない。他疾患の可能性を考えねばならないのは前稿にて訴えたとおりだ。だが症状がさほどつらくなく、「ちょっと風邪気味かも」という症状であれば、まずは家庭内で迅速抗原の自己検査をするという選択肢は多くの市民に等しく与えられるべきである。

軽症か重症か、無症状か有症状か。たしかにこの判断も簡単とは言い切れない。私が医者ゆえに自分で判断できたのではないか、と思う方もおられるだろう。もちろん自分で判断できない方や、自分の判断に不安がある場合は躊躇なく受診すべきであることは言うまでもない。そして自己検査で陰性であっても「コロナではない」と思い込んでは絶対にいけない。これも何度も言ってきたとおりだ。

「自己検査→病院で診断確定」ではずっと放置されてしまう

第2は、自己検査で陽性となった場合に、改めて医療機関を受診せねば診断確定とされないという現状だ。まず検査陽性者が受診できる医療機関が限られている。運良く近所にあったとしても、外来機能が逼迫ひっぱくしている現状で即日受診できるとは限らない。受診できなければ保健所への届け出もなされない。保健所に届け出されなければ、フォローアップもされないし、食料品など自治体からの物資提供もない。陽性という結果を手元に置きながら、不安とともに過ごさなければならないのだ。

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これを解決するには、自己検査陽性者について、ごく軽症や基礎疾患のない人等、重症化リスクの低い人については医療機関に直接受診せずとも保健所に届け出てもらえる体制を構築すればよい。これによって、リスクの低い多数の軽症者が予約枠を埋めることを防ぎ、よりリスクのある人、重症になりつつある人に医療資源を有効に振り向けることが可能となり得るのだ。

検査キットの各家庭への無料配布、自己検査陽性者の迅速な感染者認定登録、この2点は、感染急拡大の今、感染者の保護救済と医療機関の逼迫緩和の双方の意味からも、緊急にすべての自治体で導入されるべきだ。自己検査陽性を踏まえて確定診断する医師が足りないという報道もある。これまで診療に協力的でなかった医療機関にも声をかけ、総動員で対応する必要があるのではないか。