批判的な新聞社に火をつけるほどの過激な活動も展開

韓国政治の慢性病といわれていた地域格差を克服しようとする彼の努力に、多くの若者が共感し、盧が落選した翌日、ネットで結成されたのが他ならぬノサモだった。

ノサモは、現実空間とネット空間を縦横無尽に行き来し、盧武鉉の親衛部隊として名を馳せた。02年の大統領選において、彼の支持率が下がり、新千年民主党内で候補交代の動きが起こった時、ノサモは「黄色い豚キャンペーン」(豚貯金箱に政治後援金を集めるキャンペーン)を開始し、形勢を逆転させることに成功している。

ノサモはその後も、ときに過激に活動をつづけた。05年には、ノサモ会員が盧政権に批判的な論調を展開する保守系新聞「朝鮮日報」の子会社に火をつけ、世論から非難を浴びたこともあった。

ネットの書き込みで世論を誘導する文在寅の「コメント部隊」

ノサモ以後、さまざまな政治家のファンクラブが活性化する。04年には、「パクサモ(朴槿恵を愛する人たちの会)」が作られた。彼らは、アンチ朴のデモがあれば欠かさず訪れ、“向かい火デモ”と呼ばれる対抗措置を講じることで有名だ。

17年の弾劾裁判時には弾劾反対集会を主導し、朴の投獄後も変わらず彼女を支持している。朴がセヌリ党(現・国民の力)から除名されると、パクサモの会員が中心となって「ウリ共和党」を結成した。なんと将来、朴が恩赦により赦免されることを見越して、彼女が復権後に政治活動を行うための政党まで結成してみせたのだ。

実は、文在寅もファンダム(組織力の強いファンクラブ)が強い政治家として知られる。オンライン上には複数のファンクラブが存在するが、このうち最も旺盛に活動する組織が「月光騎士団」(ダルビッキサダン)だ。彼の姓の読みであるmoon=月に着眼したネーミングで、ネット記事やサイトに書き込みを重ねることで世論を誘導する役割を果たすため、別名「コメント部隊」とも呼ばれる。

文在寅が子息の不正入学疑惑などで検察の捜査を受けている曹国を法務長官に任命したことで、文政権に対する激しい反対集会が始まると、検察庁の前で「曹国守護」「検察改革」の集会を開いて、政権を支えた。