家事はするが、主夫ではない

大前提としてこの記事における「ヒモ(僕の場合)」を定義することにします。

ふみくん『超プロヒモ理論 浮いた家賃は1000万、寄生生活13年の逃げきり幸福論』(二見書房)

大辞林第三版によれば「ヒモ」とは、

女を働かせ金品をみつがせている情夫を俗にいう語

だそうです。

僕は「同棲する彼女の給料で家賃を払って借りる家」に転がりこんで生きています。

彼女との外食でのお会計のときにも、僕は「ワォン!」と電子マネーの決済音をまねることしかしません。

たしかに僕は辞書的な意味の「ヒモ」にあてはまるような気もします。

しかしややこしいのは、僕が世間一般のイメージ、たとえば同棲している女性からむしりとったお金をギャンブルに使い、あげくダークネスな商売に突きおとす……といったヒモではないことです。

料理をする時でも彼女を喜ばせてあげるのがプロヒモ流(写真=筆者提供)

「お金をくれ」
「貢いでほしい」

などといったことも一度もありません。正直に白状すれば借金は頻繁にしますが、ライター業を細々とこなすことで自分のおこづかいは自分で稼いでいます。

「これは主夫」のコメントのとおり、朝・晩の食事はもちろん、彼女がお昼に会社で食べるお弁当も作ります。掃除・洗濯の家事のほか、駅までのお見送りやお迎え、会社での愚痴を聞くことも僕の日課です。

そのような行動だけを見れば、たしかに主夫のようにも思えますが、結婚をしたことは一度もないので(いまのところは)主夫でもないでしょう(専門的に家事をやる人に対し、なぜ性別を強調するような名前をつけるのかもわからないので、正直主夫と呼ばれることにも違和感をおぼえています)。

彼女に「買ってあげようか?」ときかれる

また主夫とちがい、「ヒモ」は職業ではありません。彼氏のいち「状態」であるように思います。

なので、正確に僕を表現するとこのようになります。

僕自身は物欲はほとんどありません。服やスマホも、ボロボロになったものを使っているのを不憫に思った彼女が買い与えてくれたものです(写真=筆者提供)

“同棲をしたうえで、女性が働くかたわら家事で彼女をサポートすることを得意とし、屋根・壁代を払わずにすんでいる彼氏”

ここでは、そういった状態の彼氏(僕)を「ヒモ」と定義することにします。

また、自分自身をヒモ状態であると説明することにも合点がいっています。「ヒモ」という言葉自体に「不当に得をしている」イメージがついているからです。

家賃・光熱費といった生きるうえで絶対に必要となるお金をこれまでずっと払わずに済んできたほか、彼女と買い物に行った際には服を試着するたびに、「買ってあげようか?」ときかれるシーンを切りとって見ても、やっぱり普通の「彼氏彼女」の関係ではなく、僕が「ヒモ状態」であることがわかります。

ときに「私のお金で海外留学するか?」なんて血迷った提案をされることもありますが、いずれの場合も僕は極力拒否をします。

それはやはり、

「ヒモの僕がいうのもおかしな話だが、お金の使い方を考えてくれ! エコノミーな僕を長く飼ってくれ!」

と強く思っているからです。