「一生に一回だし!」というマジックワード

そもそも銀行が貸さなければローンは組めません。こんな詰んだ貸付けをする銀行に「ちょっとさぁ…」と小言の一つも言いたくなります。不動産屋も必死ですから、家族がキッチンに立つと「お似合いですねえ」なんて褒めそやし、そこに住めば夢の暮らしが手に入ると思わせる。そうして買いたい気持ちが高まってしまうと、多少の無理があっても自分を納得させるような材料をいろいろと集めてきて、最後は「なんとかなるっしょ!」と、ノリでいってしまう。このあたりは結婚式の散財の仕方とよく似ていて、マジックワードは「一生に一回だし!」です。

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でも、結婚だって今は何度もする人が多いですよね(私も2回しています)。本当に「一生に一度」の買い物かどうかは、冒頭にお話しした人生100年時代にも絡んできます。

家族の増減、転職、介護や病気など、長く生きればその分ライフスタイルだって変化するでしょう。コロナのような価値観をガラリと変えるような出来事だってあるかもしれません。また前回の柴田さんのような大手企業に勤めている人も一生安泰ではなく、給料が上がり続ける保証はどこにもありません。

これまで「絶対」と思われていたことが希薄になっている時代に、「一生に一度のマイホーム」という考え方もリセットする必要があるのかなと思います。

「引っ越す前提」で600万円の家を購入した夫婦

そんな中で感銘を受けたのが、32歳の村中さん(仮名)ご夫婦のお話です。

共働きで世帯年収500万円。1歳のお子さんがいて、子どもはもう一人欲しいと考えていたけど、それまで住んでいた23区内の賃貸マンションではあまりに手狭な上、家賃も高い。そこで村中さん夫妻は自然が多く、子どもたちがのびのびと暮らせる環境を求め、横浜駅から数駅先の中古一軒家を購入します。

この物件、駅近ながら築50年のぼろぼろの家だったため、購入金額は600万円と破格の値段だったそう。これを自分たちの手で少しずつリノベーションし、リノベーション費用も加えると1000万円だったそうです。ローンも月4万円まで抑えているとのことでした。

しかし村中さんご夫婦は、「自分たちはこの家に一生住むと思っていない」ときっぱり。子どもが小さいと家をめちゃくちゃにされるから、高い家を買ってももったいない。だったら子どもたちが大きくなるまでは皆がのびのび住める家や自然のある環境を重視して、住居費を抑える。その分浮いたお金は貯金し、家族の成長やライフスタイルに合わせて家を買ったり借りたりしたい、と話してくれました。