反抗期がなければ精神的に自立することは難しい

そして反抗期を迎えて初めて、精神的な独り立ちが起きて、いままでの上下関係が壊されてフラットになります。子どもが小学校低学年のころは、親と過ごす時間が多かったけれど、高学年になると友達や自分一人で過ごす時間が増えていきます。それは親のコントロールから抜け出して、精神的な自立に向かっていく過程だからです。

ですから反抗期がなければ、親と精神的につながったまま。独り立ちもできない状態なので、けっしてよくありません。反抗期がないのはほかでもなく、家庭内の緊張が高くて、とても反抗できない状態だからです。反抗したらこわい目にあうという恐怖感にしばられています。

たとえば、ふだんから100点満点ではなく90点だと怒られるような完璧主義の親だと、こわくて反抗なんてできないわけです。

過剰な勉強も反抗期の表現方法のひとつ

コロナ禍によって「子どもが学校に行きたがらない」と悩む親御さんの声を多く聞くようになりました。なかには親を困らせるために学校に行かない子もいるようです。

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不登校は、反抗期と同様に思春期に起きることも多いですが、反抗期とは似て非なるものです。不登校の原因は学校で友達にいじめられて、というのもあるかもしれないし、学校の先生とうまくいかないという可能性もあります。いじめられてはいないけれど、友達とうまくいっていないときもあるでしょう。

しかし、そのあたりから精神的にどんどんくずれていき、うつ症状が出る子どももいます。そこまで症状が出ていなくても純粋に学校が嫌だから行かないという選択肢をとる子もいます。

ここで初めて、少し反抗期とからんでくるところですが、そもそも思春期の子どもは、親と精神的なつながりを切るために親の言いなりにならない行動をしようとします。つまり親の期待と違うことをする。家の中で暴れてみるのもそうですし、学校に行かなくなるのもその一つです。そういった表現方法をとることで、親とのつながりを切る子がいることは知っておいてください。

反抗期の表現方法はいろいろですから、必ずしも反抗期だから不登校になるというわけではありません。逆に親の言いなりにならないという意味で、親の期待のはるか上をいってやろうと、反抗期で過剰に勉強をする子もいます。このように、子どもは反抗期に親との精神的なつながりを切っていきます。不登校は、その表現方法の一つということです。