「ちゃんとしなさい」はNGワード

子どもが親から離れて精神的に自立していくには、やはり子ども自身が自分で決めていくことが大切です。

親はその機会をしっかりと与えること。親が先に立って、この学校がいいよ、服や髪形はこうしたほうがいいよとやると、子どもは自分で決めることがどんどんできなくなり、親の指示がないと動けなくなってしまいます。これこそ精神的に自立できていない状態です。これでは、いつまでたっても、子離れも親離れもできません。

子育てするうえで、子どもの意志や気持ち、欲求をすべて尊重すればいいというものでもありません。しつけは必要ですし、親として世間のルールを伝えることは重要です。特に教えなくてはいけないのは、自分の命や健康を大切にすること。そして人に危害を加えないこと。これらに関することは優先度が高いので、そのルールを破ったときには、しっかりとしからなければいけません。

ただ、しかるときは、子どもの心を傷つけないようにしましょう。しかることがダメなのではなく、子どもの心を傷つけないようにしかることが大事であり、何がダメなのか、その理由を伝えて、どうすればいいのかを教えるようにしましょう。

親は子どもをしかるときに、つい「ちゃんとしなさい」と言いがちですが、「ちゃんとしなさい」では、あいまいすぎて、子どもはどうふるまえばいいかわかりません。よくわからないので結局、親の顔色をうかがう子になってしまいます。

アジアの女性彼女の腕の交差点
写真=iStock.com/AH86
※写真はイメージです

職場で部下に「ちゃんとしなさい」と言わないのと同じ

たとえば、子どもがスーパーで走り回っていたら「ちゃんとしなさい」ではなく、「人がたくさん買い物しているから、走り回ったら危ないよ。ゆっくり歩こうね」と、何がダメで、どこを直せばいいのか教えてあげる必要があります。

大人は職場で部下に向かって「ちゃんとしなさい」とは、絶対に言いませんよね。「この書類をちゃんとしなさい」と言われたら、もう少しくわしく教えてよ、となるのではないでしょうか。これが子ども相手になると、親は意外にも言ってしまうので、気をつけていきましょう。

井上先生のアドバイス
しかるときは“どうすればいいのか”まで教えて


自分の命や健康を大切にすること、他人に危害を加えないこと、子どもがこれらのルールをおかしたときはしかりましょう。ただししかるときは、理由をつけてどうすればいいかを教えます。「ちゃんとしなさい」はNG。日常の生活習慣は、朝起きる時間と食事の時間を固定すると、ととのいます。