日本の認定率は限りなくゼロに近い
「その中でウィシュマさんを含め、1997年以降、現在までに20人以上の人々が入管施設内で医療の不備や自殺などで命を落とし、数え切れないくらい多くの人々が、心や身体に大きなダメージを負わされている。日本の入管行政の非人道性は、弁護士会や人権団体等が指摘し、国連の人権関連の各委員会からも改善するよう、幾度も勧告されてきた」
日本は難民という定義を極めて狭くすることで、ほとんどの難民を拒絶してきた。難民申請をした人がどれだけ受け入れられたかという割合を示す「難民庇護申請認定率」というのがある。
難民を助ける会会長で立教大学教授の長有紀枝氏がビデオニュースで語ったところでは、2020年の日本の認定率は0.7%。カナダの75%、ドイツの52%、イギリスの22%、フランスの13%と比較しても、限りなくゼロに近いのである。
志葉氏が、なぜこうも少ないのかを法務省に問い合わせると、「地理的に遠い、言語の壁などの要因から、避難を余儀なくされている人々が多い国からの難民申請者が少ないためであって、日本が難民を拒絶しているわけではない」と回答したという。
「鎖国」と呼ばれる政策が変わるきっかけになるのか
しかし、志葉氏は現実は違うという。全国難民弁護団連絡会議のまとめによると、2006年~2018年の統計で、スリランカからの難民申請は7058人だが、認定率は0%。オーストラリアでは39.1%、カナダでは78.3%。
ネパールからの申請は8964人だが0%。アメリカは29.7%、カナダでは61.7%。多くの人が難民化しているミャンマー人、内戦から逃れてきたシリア人、ミャンマーで迫害を受けているロヒンギャ難民たちも当然ながら冷遇している。
日本政府が今回のウクライナから逃れてきた人たちを難民ではなく、避難民とした理由が見えてくるではないか。
難民に固く門戸を閉ざしてきたこの国が、ウクライナ避難民を受け入れたことで、「鎖国」とまでいわれる難民政策を世界標準まで引き上げることができるきっかけになるのか。
新潮の短い1本の記事は、そのことを日本政府と日本国民に問うている。私は、そのように読んだ。