「金髪碧眼の女性たちが、ずらりと並んでお迎え」

週刊誌の1本のなにげない短い記事が、大きな問題を提起していることがある。

週刊新潮(6/2日号、以下、新潮)が報じた、東京・錦糸町のロシアンパブが、避難してきたウクライナ人女性が働いていて大人気だという、一見たわいもない風俗記事を読んで、私は考え込んでしまった。

繁華街
写真=iStock.com/Christian Hartono Tanu
※写真はイメージです

短い記事なので、そのほとんどを紹介することになってしまうが、新潮編集部には、ご寛容のほどお願い申し上げる。

新潮は、東京の錦糸町にある一軒のロシアンパブが、連日大盛況だと報じている。
その理由をライバル店の店員がこう語る。

「今あそこは、二十歳そこそこの娘をはじめ、20代のウクライナ人が何人も働いている。他店と違い、“新戦力”を備えているのが人気の理由でしょう」

その店は錦糸町駅からすぐ近くの雑居ビルにあり、収容人数は40人ぐらいだというから、中規模店のようだ。ウイスキーなどの飲み放題付きで60分5000円、リーズナブルな店のようである。

新潮の記者が店を訪れると、「金髪碧眼の女性たちが、ずらりと並んでお迎えしてくれる」

店で働いているウクライナ人の、アンナさん(27・仮名)は、こう話したという。

「私は1カ月前に、ハンガリーの国境に近い街から、トルコのイスタンブールを経由して日本に来ました。家族は国に残したままです。男の人の場合、出国は許されません。なので、お父さんと弟が徴兵されて戦場に送り込まれやしないか、不安で仕方ありません」

「わざわざ避難民を呼び寄せている」

彼女は「避難民」として来日しているため、日本国内で1年間の就労が可能になる「特定活動ビザ」を付与されている。

先のライバル店の店員はこういう。

「偽装結婚が横行して、入管の対応が厳しくなり、15年ほど前から若い娘が入らなくなった。結果的に現在、都内のロシアンパブで働くパブ嬢は、ほとんどが30代か40代。ですが、あの店はわざわざウクライナの避難民を呼び寄せている」

他の店では、働いている女性たちの家賃などは店側の負担になるが、アンナさんのような避難民は、都営住宅を用意されているから、「タダで暮らせる。店側にすれば、コストがかからず、ホステスの新陳代謝が図れる」(新潮)と、両者にウィンウィンの関係があるようだ。

だが、新潮は、特定活動ビザを持っていても、風営法が適用される店などでは働くことができないと指摘している。

入管法に詳しい高橋済弁護士がこういう。

「避難民の方が、そうした店でもっぱら働いていると明らかになった場合、形式的には強制退去処分されるおそれもあります」

また店側にも、「不法就労を助長した罪で3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられる可能性があります」(同)