車の中だからこそ聞けることがある
——車の中でどんなお話をなさるんですか。
趣味の話など、本当にたわいもない話が多いですね。あとは、建て替える建物の歴史ですよね。いつの時代に建って、お客様がどの部屋を使っていて、どういうことをあの家でしてきてとか。そういう思いを新築のご提案の中に盛り込むと喜ばれることが多い。先祖代々のこの土地に建てたときの鴨居や家紋など、この部分を新築時に使いましょうとなることもあります。
あと営業的な目線で言うと、ご家族内の力関係、決定権がどなたにあるのか、会話の中で垣間見えてくることもあります。必要最低限のことだけ喋る通常の打ち合わせでは見えてこない、そういう重要な部分をいろいろお聞きすることができます。
「もし自分が住むなら」の視点で話をする
——家族内の実情は相続問題にとって重要情報ですね。正確に把握するのは簡単じゃなさそうですが。
ご相続対策の計画では、誰が不動産を相続するのかが重要です。そのため、お客様には誰に引き継いでもらいたいかということを決めていただく必要があります。しかし、非常にナイーブな家庭内の問題でもあるため、私としては、さまざまな事例を挙げご提案することで、家族内のいい落としどころを一緒に模索していくことが役割だと考えています。
——他に、心掛けているお話のされ方はありますか。
実は私自身が昨年、自分の家を建てまして。本当の意味でお客様のご不安な部分とかをこれまでよりは理解させていただける経験になったかなと思ってるんです。
多くの人にとって人生で最大の買い物ですから、納得して決めるんだけれども、それでも不安だよという方がやっぱり多いんですよ。そういう方たちの背中の押し方はいろいろあるのですが、私が大事にしているのは、もし自分が住むならという視点でお客様の立場になるということです。それは間取りにおいてもそうですし、資金計画においてもそうです。あとはいつ建てるべきかというところもです。そういう不安な部分を一つずつ減らしていくようなお話しをさせていただいていますね。