「離乳食を食べない」への新しいアプローチ

離乳食をあげても食べないという悩みは、本当によく聞きます。「スプーンであげようとしても口を開いてくれない」場合、「目についた物を口に入れたがるかどうか」を確認してみてください。何でも口に入れたり噛んだり、舐めたりするようであれば、自分で口に入れるのなら大丈夫かもしれません。

大人に置き換えて考えてみましょう。もしも誰かが急に何なのかわからない食べ物をスプーンで口に入れようとしてきたら、嫌ではないでしょうか。子供だって差し出されたものをよく見る、触る、舐めてみる、口に入れるけどまた出してみるなどして確かめたいのでしょう。最近の離乳食の進め方には「Baby-Led Weaning(赤ちゃん主導の離乳)」(参考:一般社団法人日本BLW協会『BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう!』原書房)といって、子供にペースト状のものを親がスプーンであげるのではなく、赤ちゃん本人の意志を尊重して食べることを促す方法があります。ぜひ試してみてください。

そうやって自分で食べさせると、食品が間違って気管支のほうに入ってしまう「誤嚥ごえん」を心配する方がいるかもしれません。従来の食事のあげ方とBLWでは窒息のリスクは変わらないという海外の研究があります。とはいえ、泣いている最中には食べさせないようにしましょう。スプーンでも手づかみ食べでも、誤嚥してしまった際の対処法、背部叩打法と胸部突き上げ法は母子手帳にも書いてあります。一度見直しておきましょう。

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大きくなっても「食べない」理由は様々

大体の場合、子供は成長するにしたがって、よく食べるようになってきます。でも、もしも食べてくれない場合はどうしたらいいでしょう。その理由はそれぞれ違うので、よく観察してみるといいと思います。

例えば、私の娘は少食でしたが、食べるのがゆっくりでした。加えて保育園・小学校の先生が「30回は噛みましょう」と言うと、本当に30回噛んで食べようとする真面目さも持ち合わせていました。だから、あまり食べられなかったのです。時間が足りなくて食べられないのか、食べられないものがあるのかで大きく違いますね。娘は、その後みんなのスピードについていけるようになりました。

それ以外にも子供は、大人にはないような理由で食べ物を警戒することがあります。見た目が好きではない、匂いや色が嫌、テクスチャーがダメ、食べると不快になった記憶があるなど、食べない理由は様々です。なお、バランスよく栄養を摂れれば、特定の食品を嫌いでも問題ありません。牛乳が嫌いならヨーグルトでカルシウムを摂ってもいいのです。