認知症の義母との生活

いつかからかはわからないが、義母は靴下を1日5回は履き替える。きれい好きなのかと思いきや、履いたものをタンスに戻すので、タンスの中の靴下はほぼすでに履いたもの。

ある日、七瀬さんは義母が履いていた靴下をタンスに戻しているのを目撃。「靴下を脱いだら洗濯カゴにお願いしますね」と声をかけると、ぎくっとしつつも「脱いでない」と言い返す義母。「いやいや、素足じゃないですか」と七瀬さんがやんわり突っ込むと、「靴下しか脱いでない」と真顔。

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七瀬さんが、「履いた靴下をタンスに戻さないでくださいね」と低姿勢にお願いをすると、「今から履くのよ、うるさいわね」と言いながら再びタンスから汚れた靴下を取り出す。

またあるときは、ベランダが白いティッシュクズだらけになっていたため、七瀬さんは、「また義母がティッシュをポケットに入れたまま洗濯したな」と思い、義母に片付けてくれるよう声をかけた。すると、「私じゃない」とシラを切る。

七瀬さんが、「じゃあこのティッシュまみれの洗濯物は誰のですか?」と訊ねると、「知らない」。ため息交じりに、「知らない人の服なら捨てていいですか?」と七瀬さんが言った途端、「……私のです」と義母。

「こんな感じのやり取りが毎日のように繰り返され、認知症だということはわかっているのですが、日本語が通じなくてイライラしてしまいます。義母は認知症になる前から不潔でした。生乾き臭のする服を着て平気で、トイレ後も手を洗わないのに、産まれて間もない次男を抱きたがるので、本当に勘弁してほしいと思いました」

それを知ってか知らずか夫は、七瀬さんがトイレなどでいないときを見計らって、義母に次男を抱っこさせている。また、義母は好き嫌いが多く、七瀬さんが作った料理に全く手をつけないことも多い。しかし、好きなものが出されると、他の家族の分までお構いなしに食べてしまい、一人でご満悦。「いただきます」も「ごちそうさま」も言わず、後片付けもせず、さっさとリビングでテレビを大音量にして見始める。

これでは子供たちの教育にも良くない。こんな生活に、七瀬さんはうんざりだった。