コロナ禍にもかかわらず、外で飲み歩く夫。育児にはほぼ参加せず、同居する義父母の世話も妻に丸投げ。アルツハイマー型認知症の義母の症状は日々悪化する。30代の妻は同居解消や無償の家政婦・介護要員状態の改善を夫に訴えたが、夫は無反応。離婚を切り出すと、「養育費なんか払わない」と言いつつ、「3人目の子供がほしい」などと口にした――。
立ち上がって歩く赤ちゃん
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【前編のあらすじ】
8歳上の自称公務員の男性と6年間の交際期間を経て結婚し、31歳で出産した七瀬希子さん(仮名・30代・既婚)。ワンオペ育児に追われるだけでなく、同居する義父からはモラハラを受け、義母からいびられた。そんな中、68歳の義母の行動に異変が。タンスの中には、尿を漏らした下着やズボンが入れられ、財布や家の鍵など、貴重品を紛失する。診察の結果、アルツハイマー型認知症だった。

義父のインフルエンザと2人目の妊娠・出産

2019年1月、同居する義父(67歳)がインフルエンザにかかった。再雇用で働きに行っていた義父は、しばらく家で療養生活を余儀なくされる。

家の中でゴホゴホと咳をする義父に、嫁の七瀬希子さん(仮名・30代・既婚)は再三「マスクをしてください」と頼んだが、全く聞く耳を持ってくれない。2歳になった長男が心配な七瀬さんは、毎日ハラハラさせられっぱなしだった。

ところがそんな心配もむなしく、義父が発病した数日後、長男が発熱。深夜に熱性けいれんを起こし、救急搬送された病院での診断は、インフルエンザによるもので、約一週間の入院となった。

それからまもなく七瀬さんが発熱。病院を受診すると、インフルエンザと診断された。

夜、帰宅した夫(40歳)にインフルエンザだったことを報告するも、夫は無関心。高熱が出ていてフラフラしていようと、もちろん義両親たちが気遣うはずもなく、家事も育児もワンオペで通常運転。夫はバツが悪いのか、健康なくせに「俺も体調が悪いんだ」と言い出し、そそくさと自室にこもった。

5月。七瀬さんは2人目を妊娠。8週目に入る頃、七瀬さんはひどい悪阻つわりに悩まされ始める。同居している義両親には2人目の妊娠を伝えていたが、義両親も夫も全く気遣う様子はなし。妊娠前から変わらず、家事のほとんどを七瀬さん一人に押しつけていた。おかげで8週目から12週目までの1カ月間で、約6キロも痩せてしまった。

しかし、さすがに悪阻で食べられず、よく眠れない日が続き、見るからにやつれてきていた七瀬さんを心配したのか、珍しく夫が、日曜日は長男を連れて公園に出かけてくれるように。せいぜい2時間程度だったが、それでも悪阻のつらい七瀬さんにとっては、かけがえのない休息時間だった。

ところが、妊娠39週目の妊婦健診で、胎児の首にへその緒が絡まっていることが発覚。さらに検査をすると、酸素不足による心拍低下が見られたため、そのまま緊急で帝王切開に。

2020年4月、急遽駆けつけた夫が立ち会う中、次男を出産した。

退院後、七瀬さんが家に戻ってくると、夫は七瀬さんが頼めば、オムツ替えやミルク作りなどをやってくれた。だが家事は、相変わらず全く手伝ってくれない。

やがて七瀬さんが退院して1週間もすると、夫は再び飲み歩き始めた。

一方、長男に言葉の遅延があるように感じた七瀬さんは、1歳半健診、3歳児健診のときに小児科医に相談したが、「発語は少なくても、理解している様子なので大丈夫」と言われていた。

しかし、3歳から幼稚園に入園したところ、幼稚園の発達専門の相談員から言語の療育を勧められ、4歳から通い始めることに。

そのことを夫や義両親に話すと、「普通の小学校に行けるのか?」「人より劣るのでは?」などと言って動揺をあらわにし、ただでさえ不安に思っている七瀬さんをさらに不安がらせる。七瀬さんは、障害の有無で人間に優劣をつけるような考え方をする人たちに、心底がっかりした。