起業家マインドは「Crazyであること」が根幹

WSLabは、当初コミュニティーから始まった。

「スタートして48時間以内に、500人以上の女性たちが集まりました。今ほどSNSが発達していないのに、反応がものすごくあって。さらには女性たちをサポートしたいという、アメリカの経済誌『Forbes』の表紙になるような著名人が連絡してくるようになりました。私のやれることが1とするなら、それを100にできるように支援してくださいという呼びかけに応えてくださった方々なのです」

WSLabの活動内容は、起業を考えている(または起業して間もない)テクノロジーベンチャーに従事する女性起業家たちの支援と育成がメイン。これまでの堀江さんの経験や知見とシリコンバレーの著名人ネットワークを組み合わせ、男性社会で直面する障害や社会課題を踏まえた独自のプログラムを構築し、「起業家マインド」にフォーカスしたプログラムを開発してきた。

「みなさんの多くは、ビジネスの成功の大きな理由は、素晴らしいアイデアのおかげだと思うかもしれませんが、そうではないのです。素晴らしいアイデアの背景にあるビジョンにサポートがつくから成功するのです。ビジネスが海のものとも山のものともわからない時期に、投資家たちが『これはイケるかもしれない!』と判断する材料は、起業家の“Crazy(クレイジー)”な部分。たとえば、しゃべりはヘタだけどエンジニアスキルがめちゃくちゃ高くてトンがっているとか、どんなことがあってもこれがやりたい! という起業家のCrazyさを感じとったときです」

写真提供=WSLab
アメリカ以外の国での活動も精力的。ポーランドの女性起業家たちとも交流。

起業家マインドに必要なのは、このCrazyさだと堀江さんは断言する。そこで堀江さんが思い出すのは、ある60代半ばの女性だという。

「その女性は博士号を持った有名な自然科学者です。彼女は自然科学の世界に足りないテクノロジーの分野を熟知していたけれど、起業の仕方がわからなかった。でも彼女のCrazyさを尊敬していた多くの人々が、投資とサポートをしてくれたことで、起業後わずか1年半で、会社をExit(イグジット・株式市場や企業に自社株を売却し、投資した資金を回収すること)することに成功したのです」

WSLabでトレーニングを終えた女性企業家たちの中にもExitの経験者は何人もいるが、みな一様に自分らしいCrazyさを持った人たちばかりだ。