上司や同僚が転職、「後追い転職」で後悔
春は別れの季節でもあります。慕っていた上司や、手塩にかけて育てた部下からの突然の退職報告、といったこともあるでしょう。
特に女性の場合は、家族や友人以上に共に時間を過ごす「一緒に働く人」「職場の人間関係」を重視する傾向があるようです。このため、慕っていた上司や仲良くしていた同僚、後輩の転職にショックを受けて、「私も転職しようかな……」という思考に陥りやすいのです。
しかし、他人の転職に流されるのは危険です。転職先では、新たな仕事を覚えて環境に慣れるまで、膨大なエネルギーを使います。転職の目的がはっきりしないまま、漠然とした不安にかられただけの、上司や同僚の「後追い」転職では、モチベーションを維持できず挫折してしまいます。
転職のタイミングは人それぞれ。上司や同僚の転職を、自分のキャリアを考えるきっかけにするのは良いことですが、なんとなく気持ちが揺らいで見切り発車で転職をするのは考えものです。
転職には準備が必要です。春は前述の通り、転職には向かない時期ですから、この時期を使ってまずは、キャリアカウンセリングを受けて自分の経験を棚卸ししたり、職務経歴書を更新したり、将来のキャリアプランを立てて不足しているスキルを補う努力をするなどの「種まき」をしておきましょう。
ライフイベントを“想定して”キャリアダウン
特に女性は、結婚・出産・育児・介護といったライフステージの変化に柔軟に対応する必要があります。このため、「未然にリスクを回避するために」と、早いうちから働きやすい環境を求めて転職を考えてしまう傾向があります。しかし、せっかく年収を下げてまで「女性が働きやすい」仕事に転職したのに、想定外の未来がやってきて、安易な転職を後悔する女性もまた多いのです。
例えば、結婚や出産を想定した動き方を望み、残業が少なく責任もあまり重くない仕事に転職したのに、結果的に独身で過ごすことになる場合があります。また、子供のいない人生を歩むことになったり、離婚を経験したりすることもあるでしょう。「忙しくてもいいからもっとやりがいのある仕事をしたい」「頑張っても思うように収入が上がらない。昇進につながらない」と不満を抱え、「何のために転職したのだろう?」と後悔してしまうわけです。未来の状況が確定していない段階で、「キャリアダウン」につながる転職をすることは避けた方がよいでしょう。
また、「今の職場では、これまで女性が産休育休明けで復帰した前例がない」「リモートワークや時短勤務、フレックス等の柔軟な制度がない」といった理由で、「この職場ではライフイベントの両立ができない」と思い込んでいる女性は意外と多いようです。しかしそれは、単なる思い込みという可能性もあります。「上司と本音のコミュニケーションが取れていないだけ」ということも多いのです。